福井コンシェルジュ〜私たちが福井をご案内します〜

津田寛治の「KANJIて福井」

ネオンサインの下で募集開始

 気がつくと僕は、福井市が誇る魅惑の楽園、片町にいた。キラキラのネオン、おじさんたちの笑い声、そして妖精のようなおねえさん達。「津田さん! 片町にようこそ!」その声に振り向くと、そこにはいつの間にか、もう一人のプロデューサー宮田耕輔さんが立っていた。地域情報誌月刊URALAの部長である宮田さんはチョイ悪風のナイスガイだ。まるでこの繁華街の備品のように片町が似合っている。遅れてきた片町王子、宮田部長に連れられ、僕と木川さんは一軒の店へと入っていった。
 店の中は、おじさんと妖精ねえさんで溢れかえっている。うおー…絵に描いたようなクラブだ。いわゆる平板読みのクラブではなく「ク」にアクセントがある方のクラブ…、銀座とかに沢山あるアレだ。僕たちが空いている席に座ると、瞬く間に妖精ねえさん達がやってくる。「お疲れ様でえ~す…。あれ? お客さん見たことある。あ、福井出身の…ほら! 刑事さん!!」。福井出身の刑事さんって…。僕が居心地悪そうにしていると、突然木川さんがスクッと立ち上がって喋りだした。
 「え~皆さん。俳優の津田寛治さんです!」と僕を指差す。「今度、津田さんは福井で映画を撮ります。その作品を素晴らしいものにするために、皆さんご協力願えませんでしょうか」。木川さんがそう言うと、宮田さんがさっきのファンド募集チラシを配り始めた。ま、まじか…! と卒倒寸前になっている僕の袖を木川さんが引っ張り「ほら、津田さん挨拶」とせかす。僕は言われるまま立ち上がり「津田です。宜しくお願いします!」と頭を下げた。
 すると、そこかしこから拍手が起こり「津田さん! 頑張れ!」といった掛け声まで聞こえた。その場の雰囲気にのまれて若干感動してしまっている僕の元に、配ったばっかりのチラシが舞い戻ってくる。え? と思っていると木川さんが満面の笑みで言った。「津田さん、チラシの裏にサインお願いします」。…福井県民の心意気…そんな木川さんの言葉を思い出しながら僕が何枚ものチラシの裏にサインをしていると、木川さんは僕の肩にそっと手を置いてこう言った。「津田さん。明日はロータリークラブ行きましょうね。きっとファンド集まりますよ。大丈夫です!」…僕はあらためて、福井で映画を撮るという現実に腹をくくった。