見どころ満載の「大本山永平寺」で禅の世界を体験! 禅の里を楽しみ尽くす

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曹洞宗の大本山として知られる「永平寺」。770年以上の歴史が生み出す圧倒的な荘厳さの中で、雲水(うんすい)と呼ばれる修行僧たちが修行に励む様子を垣間見れる福井県が誇る名刹だ。近年、禅は“ZEN”としてグローバルな広がりを見せており、海外からの注目度も高く、毎年国内外から多くの人が訪れている。

どこか凛とした空気の漂う山深いこの地には、禅の心に触れられる上質な旅がある。大本山永平寺の見どころや、ここでしかできない修行体験、門前町の土産物まで。余すことなく禅の里 永平寺を堪能しよう。


米紙ワシントン・ポストは2月2日までに「人混みを避け、2024年に旅すべき場所」として「世界各地の最もスピリチュアルな地域の一つ」として福井県を挙げ、福井県の主な観光地として大本山永平寺が紹介されました!

見どころ満載の「大本山永平寺」で禅の世界を体験! 禅の里を楽しみ尽くす

おさえておきたい、大本山永平寺の基本情報

永平寺は道元禅師が寛元2年(1244年)に開創した禅の修行道場。曹洞宗の大本山であり、現在は全国から集まった多くの雲水が厳しい修行の日々を送っている。


中部縦貫自動車道「永平寺参道IC」から車で約10分の山あいに位置し、福井駅からは便利な直行バスが毎日運行している(永平寺門前まで約30分)。拝観は年中無休で8時30分から16時30分までとなっており、事前予約をすれば朝課(ちょうか)と呼ばれる早朝のおつとめにも参加することができる。早朝の張り詰めた空気の中、境内に響き渡る読経の声。何十人もの雲水が一心にお唱えする様は迫力満点だ。ぜひ早起きして体験してみよう。

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老杉に囲まれて静かに佇む「唐門」

参道の脇を覆う美しい苔や、貫禄ある老杉木立も見どころの一つ。また老杉の連なる先には新しい住職を迎える時にのみ使われる唐門があり、永平寺のシンボルにもなっている。厳しい修行の地に足を踏み入れる緊張感を感じながら、境内の景観もしっかり楽しもう。

老杉に囲まれて静かに佇む「唐門」

七堂伽藍を回廊でめぐる、永平寺の歩き方

永平寺の33万㎡という広大な敷地には70を超える諸堂が存在し、そのうち19の建物が国の重要文化財に指定されている。中でも「七堂伽藍(しちどうがらん)」は修行に欠かせない大変重要な建物で、山門、仏殿、法堂、僧堂(そうどう)、大庫院(だいくいん)、浴室、東司(とうす)の7つを意味する。これら7つの建物は回廊と呼ばれる階段と廊下で結ばれている。七堂伽藍をメインにじっくりと見て回りながら、禅の教えに心を寄せるのが一般的な参拝方法だ。

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参拝マナーをしっかり心得て

受付を済ませるとまず案内されるのは、一般の方の参禅研修道場である「吉祥閣(きちじょうかく)」。全景図と参拝の心得が掲示されているので、参拝前に目を通しておきたい。雲水がいる場合には参拝の説明を受けることもできる。

境内では雲水とすれ違うことも多くある。そんな臨場感を感じながら参拝できるのが永平寺の魅力だが、ここはあくまでも修行道場。雲水にカメラを向けての撮影は厳禁。立ち入り禁止や撮影禁止のエリアもあるので、マナーを守って穏やかな心でお参りを。

参拝マナーをしっかり心得て

昭和の名画家たちが描く優美な世界に酔いしれる「傘松閣」

ここからは、永平寺の中でも特に見どころとなる建物をいくつか紹介したい。 

吉祥閣を出てまず最初に向かうのは、参拝者の控え室などを備える「傘松閣(さんしょうかく)」。2階の大広間は「絵天井の間」として知られ、昭和の一流日本画家144名による230枚の天井絵がはめ込まれている。160畳の大広間の天井を埋め尽くす様はまさに壮観だ。花や鳥が描かれたものがほとんどだが、鯉や唐獅子など生き物が描かれたものが5枚だけ存在するという。一枚ずつその美しさを堪能しながら、特別な5枚を探してみよう。

ここから修行の日々が始まる「山門」

傘松閣を出ると、次は参拝のメインとも言える七堂伽藍。「山門」から始まり、回廊を巡って参拝できるようになっている。


築約270年の山門は永平寺で最も古く、二層の造りで下層には四天王「持国天」「多聞天」「広目天」「増長天」、上層には「五百羅漢」が祀られている。釘や金具を一切使っていない木組み造りで、その精巧な匠の技が随所に光る。


山門は、修行僧が入山する時と、修行を終え下山する時にしか通ることが許されていない特別な門。毎年2〜3月、志願者たちは雪深い石段を登ってこの山門の前にやって来る。修行期間は人それぞれで決まりはないという。これから始まる修行の日々に、どんな覚悟を抱いて山門をくぐるのだろうか。入山する修行僧に思いを馳せながら、回廊を巡ってみるのもおすすめだ。

365日、生活の全てが修行となる「僧堂」

七堂伽藍の一つ「僧堂」では雲水が日常の生活を送っている。永平寺では、日々の生活のすべてが修行。一人に一畳分の単(たん)と呼ばれるスペースが与えられ、坐禅、食事、睡眠などは全て単で行われる。中央には「文殊菩薩像」が祀られており、これを囲むように単が設けられている。


僧堂は、浴室、東司(お手洗い)と並ぶ三黙道場の一つでもあり、私語は厳禁。神聖な修行の場であり僧堂の中に入れるのは雲水のみとなっている。写真撮影もNGなので注意したい。

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修行体験を通して、より深く禅に親しむ

深く禅の心に触れたいなら修行体験がおすすめだ。永平寺では、早朝に行われる朝課への参加のほか、坐禅を行う「坐禅体験」(予約不要・一時間程度)や、一泊二日で坐禅を中心とした参禅研修を行う「一泊参禅」(要予約)を体験できる。写経は新型コロナウイルス感染症防止のため残念ながら休止中だが、禅の大本山で行う修行体験は本場ならではの緊張感に包まれている。日常をしばし離れ、自分自身を見つめる特別な時間を過ごしてみよう。

修行体験を通して、より深く禅に親しむ

気を引き締めて参拝したい「仏殿」と「法堂」

仏殿の中央には曹洞宗の本尊「釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)」、右側には「弥勒仏(みろくぶつ)」、左側には「阿弥陀仏(あみだぶつ)」の三世如来が祀られ、ここでは昼と夕方のおつとめが行われている。


法堂は説法のための道場で、須弥壇中央に祀られているのは「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」。420畳もの広さがあり、雲水が一堂に集まる朝のおつとめや各種法要が行われる。永平寺で一番高い場所にあり境内を見下ろすことができるので、厳かな雰囲気とあわせて美しい景色も心静かに味わいたい。

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季節ごとに訪れたい理由がある

深山幽谷の地にある永平寺は四季折々の景観の美しさも見逃せない。重厚な諸堂に美しい紅葉が映える11月は特に賑わう季節。雪囲いによって装いを変え、雪があたり一面を包みこむ冬の永平寺も多くの人に愛されており、凛と研ぎ澄まされた空気がより荘厳な世界へといざなってくれる。境内のあらゆるところから風情ある眺めを楽しめるが、永平寺で最も高い場所に位置する法堂(はっとう)や、境内入口近くの祠堂殿(しどうでん)からの景観は特におすすめ。

季節ごとに訪れたい理由がある

曹洞宗発祥の根源「承陽殿」

「承陽殿(じょうようでん)」は、永平寺を開いた道元禅師のご尊像とご位牌、ご霊骨を祀る最も神聖な場所だ。雲水たちは道元禅師が今でもそこに生きているかのようにお仕えしているという。道元禅師から数えて五代目までの歴代住職の木像も祀られている。


承陽殿は明治12年の火災を経て14年に再建され、建築的にも非常に凝った造りになっているのだとか。内部を撮影することはできないが、ピンと張り詰めた神聖な空気は肌で感じることができる。「木鼻(きばな)」と呼ばれる、見事な柱の彫刻にも注目してみよう。

修行の日々を支える永平寺の要「大庫院」

「大庫院」は、地下1階地上4階からなる一際大きな建物。主に食事を司る台所の役割を持つほか、物品の保管庫や、会計や保全などを担う部署も設置され、永平寺の要となる重要な場所となっている。正面中央には「韋駄尊天(いだそんてん)」が祀られている。


食事担当の雲水は、仏前にお供えする食事と雲水たちの食事を作る。気になる食事の内容は、朝はおかゆに胡麻塩、漬物、梅干し。昼は一汁一菜、夜は一汁二菜の精進料理。お麩を肉に見立てるといった「もどき料理」と呼ばれる調理の工夫は精進料理ならでは。


大庫院の前で存在感を放つのは、特大のすりこぎ棒。仏殿を建てた際に地固めに使われた棒を、すりこぎに見立てて飾っている。

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時を告げる鳴らし物

永平寺には時間を告げるための鳴らし物がいくつも存在する。起床の合図となる「振鈴(しんれい)」、食事の時間を告げる「雲板(うんぱん)」と呼ばれる鉄の板、僧堂に食事の準備が整ったことを告げる「魚鼓(ほう)」、到着の合図となる「木版(もっぱん)」など。日々さまざまな音が響き、雲水たちの生活に欠かせないものとなっている。長い間鳴らし続けて傷んだ跡は、厳しい修行の日々を物語っているようだ。

時を告げる鳴らし物

楽しみ広がる、門前町めぐり

ここまで見どころだらけの大本山永平寺を紹介してきたが、旅の楽しみはこれだけではない。永平寺参拝を満喫したあとは、ぜひ門前町へ。食事処や土産物店が立ち並び、ごま豆腐や永平寺そば、縁起物のご利益団子など、ここにきたら味わっておきたいグルメも豊富に揃う。お店を眺め歩くだけでも、心弾む時間を過ごせそうだ。


永平寺の新名物として話題になっている「永平寺だるまプリン」は、だるまが描かれた器がキュートななめらかな口どけのプリンで、縁起のいいお土産としてもぴったり。観光地ならではの賑わいを感じる門前町めぐりで、旅をもっと充実させよう。

永平寺 親禅の宿で、心置きなく禅の世界に浸る

最後に、とっておきの禅体験の宿を紹介したい。2019年に新しく整えられた旧参道のまちなみにあり、永平寺川のせせらぎが心地よい「柏樹関(はくじゅかん)」は、旅館と宿坊のいいとこ取りができる快適な宿泊施設。禅の空間「開也(かいや)の間」では、年中行持により永平寺での修行体験が不可能な場合でも、永平寺にて研修を積んだ“禅コンシェルジュ”のサポートのもと坐禅や写経を体験することができる。


永平寺監修によるこだわりの精進料理は、禅の心、禅の技法を生かしながらも見た目に華やかで、旅の気分もグッと高まる。永平寺杉のほか、越前和紙や越前漆器など地元の素材や伝統工芸を随所に取り入れた館内や、澄んだ空気を味わえる露天風呂は旅の疲れを癒やしてくれる。禅の里をめぐる旅の締めくくりにふさわしい宿で、身も心もゆったりとほどける上質なひとときを過ごそう。

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足を伸ばして訪れたい、福井の食と酒を堪能する注目スポット

参拝の後にぜひ立ち寄りたいのが大本山永平寺から車で約10分の場所にある「ESHIKOTO(えしこと)」。この地で200年以上にわたり日本酒を造り続ける黒龍酒造が運営する酒蔵観光施設で、九頭竜川を一望できるロケーションのもと、日本酒を核とした福井の食や伝統工芸に触れることができる。ショッピングや飲食を楽しめる「酒樂棟」にある「acoya(アコヤ)」は、「禅・食・酒」をテーマにしたレストラン。洗練された空間で福井県産食材にこだわった食事をいただける。土日祝のみ提供しているモーニングは、禅寺に倣った「朝粥」スタイル。眼前に広がる美しい景色とともに、心身にしみ渡る一杯をゆっくりと味わいたい。

足を伸ばして訪れたい、福井の食と酒を堪能する注目スポット
川崎麻由実(かわさきまゆみ)

デザイン事務所および印刷会社にて、印刷物やwebサイトの企画・編集・デザイン・コピー制作等に携わり、2020年にフリーランスとして独立。言葉を通して思いを繋ぎ、気づきのあるコピーをお届けできるよう心がけています。「ブレない」が人生のキーワード。暦や季節を楽しむ暮らしが好きです。

Photo by Tsutomu Ogino(TOMART:PhotoWorks)