ふくいの旬の食カレンダー 春(3月〜5月)

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福井県は四季折々の豊かな食材にあふれています。春(3〜5月)の時期が旬といわれる食材をご紹介します。

ふくいの旬の食カレンダー 春(3月〜5月)

花らっきょう

“足かけ三年”のブランド「花らっきょ」。新しいシリーズが販売されました。

通常のらっきょうといえば、 8〜9月頃に植え付けをして翌年の5〜6月に収穫されま す。しかし、福井県坂井市三国町にある三里浜の砂地で作られているらっきょうは、 全国 でも唯一、植え付けから収穫まで、 “足かけ三年もの年月をかけて栽培され、「三年子 花らっきょ」と呼ばれています。 固定客も多く、長く買い求める人も多いそうです。


「らっきょう作りは植え付けから掘りとり(収穫) まで、すべて手作業。 (生産)量を 増やすことは難しいですね」 と生産者である玉森さんは言います。 種球1粒は最初の一年 間で6~9粒に増えます。 これが丸2年育てる三年子栽培では、 40~60粒になります。 年月が経つにつれて粒が小さくなり、三年子は小粒で繊維が細かく身が締まり、シャキシ ャキと歯切れのよいらっきょうとなるのです。


収穫されたらっきょうは、地元の三里浜特産農業協同組合で加工されます。 小粒が特徴 の三年子ですが、その中でもあえて大粒を選りすぐり、 1年間じっくりと低温で漬けた 「熟成本造り」。足かけ三年に加えて、漬け込みに一年。 できあがるまでに4年の歳月が かかっています。 食感も味もまろやかで、歯ごたえも抜群。 さっぱりとした味わいです。 その他、特別栽培コシヒカリから作られた米酢で漬けた、フルーティな味わいの「砂のし ずく」、三年子の中でもさらに小粒を選んだ 「特殊神花」はパッケージもリニューアルし、こだわりシリーズとして人気です。


カレーライスの薬味として定番ですが、 実は意外な食べ方があります。 「焼きそばや焼 き飯などの油を使った料理の上にのせたり、添えると油っぽさが消えてさっぱりと食べら れます。サンドイッチに挟む他、 ポテトサラダの中に入れれば食感も楽しく、美味しさも 引き立ちます。 バタートーストと一緒に食べても合いますよ」 とは三里浜特産農業協同組 合の小西さん。 タルタルソースやドレッシングなどの加工品も作られています。




日本海沿いに位置する福井県坂井市三国町にらっきょうの産地である三里浜があります。 10月下旬にはらっきょう畑の花がいっせいに開花し、 鮮やかな紫色の じゅうたんのようになります。 専用の鎌で収穫した三 年子のらっきょうのほとんどは、 専用の 「切り場」 へ と運ばれ、 根と頭が切り落とされます。 その後、塩漬 けにしてから甘酢などに漬けられます。 「花らっきょ」というブランド名を持つ三年子は、 特に京阪神や 中京方面を中心とした全国へ出荷。 食べてみれば分か る美味しさ。 数多くの加工製品が発売され、 根強いフ ァンが多いというのも納得なのです。



らっきょうを使用した調味料も販売。

細かく刻んだらっきょうの甘酢漬けの歯 ごたえが生きたタルタルソース。 エビフ ライや白身フライなどにたっぷりつけ て。子どもにも大好評。 また、丸大豆醤 油をベースにしたあっさり味のドレッシングも発売しています。


【問い合わせ】

三里浜特産農業協同組合 0776-82-2111

道の駅みくにふれあいパーク三里浜 0776-82-3339


昔ながらの手作業で集められ、 全国に出荷される 「花らっきょ」。 「三年掘り」

「三年子」と呼ばれる珍しい栽培法で育てられており、シャキシャキっとした食 感がたまりません。

アオリイカ

イカの中でも特に美味しいとされる、アオリイカのシーズンが到来です。

多くの日本人が好む魚介類の一つがイカです。 日本近海でも100種類以上が生息していると言われ、福井県内ではスルメイカ、ヤリイカ、ケンサキイカ、アオリイカなどが一年を通じて水揚げされます。

アオリイカは、イカの中では特に美味しいとされ、 大きいものは胴長が45cmを超える大型で9月中旬〜11月まで獲れます。胴の全域にかけて団扇のようなヒレがあ り、大きな目のまわりが色鮮やかなブルーに光ります。


福井の海は、アオリイカが生息する藻場が豊富な他、春に生まれたアオリイカの餌となる小魚が多く集まるなど、 環境に恵まれ、良質なアオリイカが育つ条件が揃っています。 また近年、 若狭町の民宿ではアオリイカ料理の提供に力を入れています。 生き作りを中心に、腕自慢の職人たちが腕を振るってくれます。


御神島<若狭町常神>

常神半島から西方の沖約500mの日本海上にある福井県最大の無人島。島周辺はアオリイカがよく獲れる好漁場として有名です。民宿が多く、 海水浴客や釣り人

は船で御神島へ渡してくれます。


釣りや定置網の他、 小型船でトローリングしながら獲る方法があります。 秋獲れのアオリイカは400~  好500gほどの大きさで、 イカ刺しは絶品です。  


ヤリイカ

一年中、美味しいイカを楽しめる福井。 旬はヤリイカ、 次はスルメイカに舌鼓。

イカは多くの日本人が好きな魚介類の一つで、刺身や寿司、サラダ、煮物、和え物、炒め物と、 食卓には欠かせない存在です。 ヤリイカやスルメイカ、 真イカ、モンゴウイカ、ホタルイカなど、 一年を通してイカを水揚げ しているのが福井県です。


ヤリイカの美味しい食べ方は、やはり刺身です。 ちなみに写真は、水揚げされたヤリイカを船上でさばいてもらったものです。福井県は季節ごとにさまざまな魚介類が楽しめる土地。しかもそのどれもが美味しいと定評があります。 その理由の一つに、 漁場環境の良さがあげられます。


イカは回遊魚で日本列島を南から北上しますが、 越前海岸沿岸はちょうどその途中。 暖流と寒流がぶつかり合う、魚方がご存知の通り、新鮮なイカは魚介類にとっては棲みやすく、美味しいイカに育つ要素が透明で、身もコリコリしていま 豊富な環境。ですから一年を通してさまざまな種類のイ カが水揚げされますが、どれも美味しいのは言うまでもありません。


「越前海岸沿岸で水揚げされたイカは、 他地域よりも美味しい。 特に刺身は歯ごたえがあって、味も濃い目です。 今の時期に美味しいのは雌のヤリイカ。産卵直前で卵をたっぷり抱えているし、その卵を焼いたものは絶品です」とは鮮魚仲買人の中橋睦男さん。 


今回は1~3月が旬のヤリイカ漁の様子を見せていただきました。

早朝6時半、ベテラン漁師を乗せた小型船 「かねいち丸」 は、 越前町の米ノ漁港を出 港。約10分ほどで漁場に到着します。 今回のヤリイカ漁は、 沿岸からそれほど離れてい ない約100mほどの地点での定置網です。


到着するとすぐ、 網の引き上げを開始します。 海底約30mほどに広げられた大きな網を、手作業で少しずつ手繰り寄せながら引き上げること約20分。 網には少し赤みがかっ たイカが入ってきます。 中橋さんによれば、イカは泳いでいる時の体表面は透明で、 怒っている時は赤くなるのだとか。


網ですくい上げたヤリイカは、すぐに船内水槽に移します。 さらに残りの網を手繰り寄せ、イカをすくい上げる作業を繰り返します。 網内のものをすべて揚げ終わったら、 次の日のために再び網を下ろし漁は終了。 1時間後の7時半頃には米ノ漁港に帰港します。


帰港後、すぐに別の水槽に移し、県内外への出荷準備が始まります。 県外向けで、早いものだとその日の夜には到着します。 明朝のセリにかけられ、各飲食店へと運ばれ、昼には食べられることになります。


鮮度が良くて美味しい福井のイカ類は現在、 特に関東圏で人気上昇中。 ヤリイカの次は 春~初夏にかけてのスルメイカ、ホタルイカ、そして次は真イカと、とにかく美味しいイカの旬が続くのです。

天然わかめ

海女が自ら潜り、獲った春の味わい、天然わかめ。 知る人ぞ知る逸品、 手作り粉わかめに注目。

肌寒さが残る4月終わりの頃、 冬の厳しい海の表情とは全く違う、おだやかな天候と波が続く日本海。そんな海では春の風物詩であるわかめ漁が解禁となります。 福井市三国町米ヶ脇地区では4月下旬に解禁となり、 漁港近くの海では、幾人もの海女さんが漁をする姿を目にすることができます。


木の桶を海面に浮かべ、 錘をまとい海の中へ。 何度も何度も潜ってはわかめを手で獲っていきます。 ここでは、わかめは道具を使わず、根元からこぐ (折る) のが主な漁法です。 漁の時間は、早朝6時30分に海に出てから1時間と決められています。 これは乱獲を防ぐ意味合いもあるそうで、海に出る者たちの掟なのです。 漁港脇の岩場で獲る海女さんや、船で独自のポイントまで出航し、漁を行う海女さんもいます。 時間内は休憩することなく、 潜り続けます。


この時期に獲れる新わかめはやわらかいのが特徴で、 小さいものは茎まで食べられ、主に高級料亭や割烹料理店で重宝されているそうです。 注文が入ると生のまま出荷。「わかめのしゃぶしゃぶ」 としてメニュー化されています。 獲れたての新わかめを、お湯にサッとくぐらせて、 生姜醤油やわさび醤油で味わいます。 お湯に入れると鮮やかな新緑になり、磯の香りも一層増して美味です。


天然わかめのほとんどは、 粉わかめに加工されます。一般的には「もみわかめ」 と言われるもので、これらも海女さんたちが手作りしています。

わかめ漁が終わると、 わかめの芯とめかぶを丁寧に取り分け、簾(す)と呼ばれるゴザ の上に葉を一枚ずつ並べて干していきます。

 乾いたら、手で揉んで粉わかめにしていくのですが、この作業を一日で行なわなければならないため、 漁が終わっても海女さんたちは大忙しなのです。 わかめ漁の解禁後は、あちらこちらでわかめを干す作業を見かけることでしょう。


わかめ自体の質が良い上に、 完全手作りなので評価が高い粉わかめ。 手間を考えると、 価格が高いのも納得です。 そして美味しさの裏には、たくさんの人々の思いと、尽力が込められているのです。


地元の食し方として、 新わかめとたけのこ、ニシンを一緒に炊き合わせる若竹煮が一般的です。 わかめのつるりとした喉越しと、たけのこのシャキシャキとした 食感が同時に楽しめます。 春の食材を合 わせた季節感のある料理は、 どこの食卓 でも登場する定番メニューです。また、 わかめの根っこであるめかぶ。 これをカラカラに干して、素揚げして食べるのも地元ならではの食べ方です。


【問い合わせ】 JF福井漁連 0776-24-1203




ほたるいか

漁師を魅了する幻想的な“ほたる ”は小粒だけど、しっかりうまい。

「ほたるいかと言えば富山県」というイメージを持っていませんか? 実は福井県も全国第3位の漁獲量を誇る日本屈指の県なのです。


漁の方法も富山とは異なります。 回遊魚であるほたるいかのルートを見極めて漁を仕掛けるためです。ほたるいかが沿岸近くまで入り込んでくる、 すり鉢状の地形をした富山湾では定置網が主流。 対して福井では海流に乗って日本海沖にやってきたほたるいかを底びき網で漁獲します。


▲3月頃から始まるほたるいか漁は、4~5月が一番ピークの時期。越前町では、多いときで40隻もの船が出港します。 水揚げ後、大半は富山へ生のまま出荷されます。


山陰地方でも水揚げされるほたるいかですが、 それぞれに大きさや味の違いはあるのでしょうか?

「山陰は小さめ、富山は大きめ。 福井はその中間で、食べやすい大きさなんです。 佃煮や塩辛など目的に合わせて大きさを選ぶ人もいますね。ですが味に変わりはありませんよ」 と話すのは、 越前町の漁師・米沢さん。


ボイルしたほたるいかをからし酢味噌であえた食べ方が一般的ですが、 足だけを集めてイカそうめんにする食べ方もあるそう。 4〜5月の旬の時期は地元の居酒屋メニューにも登場。春を感じさせる味覚として人々の舌を楽しませます。

調理法 1
成魚になっても6cm程の大きさなので、丸ごと食べられるのも、ほたるいかの醍醐味です。佃煮にしていただくと、噛むほどに磯の風味が広がります。
調理法 1
調理法 2
片栗粉をまぶして油で揚げたほたるいかに、だし・砂 糖・醤油・酢と野菜の千切りを煮立て、 水溶き片栗粉 でとろみをつけた野菜あんをかけた 「ほたるいかのあんかけ」。イカの旨味がつまった逸品です。
調理法 2