実はスィーツ王国福井Vol.2
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この歳になって、ソフトクリームで感動するとは、思わなかった。
まず、姿を見てほしい。
太い畝が3周ほど回っているが、いかにも神経をそそぎましたと言っているかのように、美しく、均一に絞り出されている。
スプーンを刺し込んで食べようとしたら、重い。
あのソフトクリームの軟弱さはなく,しっかりとした密度がある。
食べれば、目が輝いた。
黒龍大吟醸の華やかな香りがそよいだかと思うと、乳のうまみと甘やかな香りが広がり、濃密な貴醸酒の甘味がかすめ,最後にバニラが口の中へ余韻を残し、消えていく。
ソフトクリームもいいものだけを使い、上級の香りを纏わせ、真剣に作れば,エレガントになる。
そのことを教えてくれた、ソフトクリームだった。
岡田バディシェに感動を伝えると、
「この大吟醸があったからこそできたソフトクリームです」と、軽やかな笑顔を作られた。
うむ。ソフトクリームでこれだもの。
やはり福井のスィーツレベルは,高い。
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。