ますよねまごころ屋
朝一番で東京を経ち、朝ごはんを食べるために福井にやってきた。
目指すは福井の台所、中央卸市場の場外にある「福井鮮市場」である、
ここには市場で働く人たちのためにいくつかの食堂がある。
魚市場にある食堂は、全国どこでもハズレがない。
魚を知り尽くした魚市場関係者に支持されている料理は間違いがないからである。
そのため、地方へ旅するたびに早朝の魚市場に出かけて、食堂でご飯をいただいてきた。
その経験から言わせてもらうと、「福井鮮市場」は充実している。
それぞれの店に名物料理があって、店舗数も多いからである。
しかも古くからやられている店が多いのも、信頼がおける。
最初に訪れた「ますよねまごころ屋」は、昭和30年増田ヨネコさん民宿から始まったのだという。
今の場所でも長く営まれている。さあ食べるぞ。
海老フライにカキフライ、ずわい蟹、カレイ唐揚げ、刺身や生シラス定食、海鮮丼系が20種近くと、種類が多く、思いは千々に乱れる。まずは数ある丼より、いくらとサーモンの親子が乗った「ふくいサーモン丼」をお願いした。
サーモンの色艶がいい。脂が乗ってますよおと言ってくる色艶である。
脂の甘みでご飯を行く。いくらの旨味もご飯で受け止める、途中で握り寿司風にしても面白い。
そしてなにより、そのご飯が美味しい。聞けば、地下水を使って炊いているのだという。
地下水でコシヒカリを炊く。もうそれだけで贅沢である。漬け海鮮丼を頼めば、刺身類がこれでもかと乗ってくる。
さらに定食を頼むしかないと、「まごころ屋定食」お願いした。
これまた実にゴーカである。ヤリイカ、カンパチ、マグロ、サーモン、甘エビの刺身盛り合わせに、豆アジ唐揚げ、鯛のフライ、へしこ、ひじきのふりかけがついてくる。
ご飯が何膳あっても足りません状態である。
調子に乗って炙りウニを追加したので、さらにご飯は必要となる。
結局、海鮮丼にして、一膳。
タイのフライ丼で、一膳。
生ひじきふりかけで、一膳。
へしこ茶漬けで、一膳。
あぶりウニといくらを寿司風にしてと、都合五膳近くも食べてしまった。
でもまだまだ甘い。
ここの常連には、定食に丼二つという猛者もいるそうである。
大変危険な定食屋であるが、朝からご飯をたらふく食べる幸せは、他に変えがたいのであった。
お店の場所はこちら
ますよね ふくい・鮮いちば店
〒910-0836
福井県福井市大和田1丁目101
(福井市中央卸売市場・ふくい鮮いちば)
TEL:0776-43-1553
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。