心に光を照らす、敦賀のフランス料理店。「ラクラルテカグラ」
日本三大鳥居の一つである、敦賀市にある気比神宮大鳥居の前に店はあった。
店に入ると、オーナーシェフ松下ひかりさんの温かい笑顔に出迎えられる。
サービスは旦那様の松下明弘さんで、笑顔が柔らかい方である。
12月のディナーコースは、カリフラワーのフリットから始まった。春巻きに近い皮煮詰めたカリフラワーの揚げ物は、穏やかな甘味で食欲を起こす。
続いて。「自家製生ハムと果実のカプレーゼ」。
噛み締めていくとうま味が膨らんでいくハムに、金柑とラフランスの甘酸味がからむ。この店の前身は、洋服屋だったそうでその店のショーケースを溶かしてつくったという、敦賀の福地ガラスの皿が可憐に料理をもり立てる。
続いて、「活イカとハーブのタルタル、フルーツトマトとキヌアのマリネ」。
イカをタルタル上にまとめたもので、新鮮なイカが放つ甘さがきれいであり、そこに美味しいトマトが絡む。
全体をまとめるヴィネグレットの酸味がいい。イカの甘さからハーブ香って、最後にイカの甘さが再び顔を出し、引いていく。
添えられたバケットに乗せてもいい。
次は「10種の野菜の飲むサラダ」。黄色いスープである。
使えない野菜の端材を中心に作ったという。一口飲んで充足のため息が出た。
温かい慈愛の味に満ちている。
次は「無農薬レモンのクリームパスタ」。白いソースとレモンオイルだろうか、黄色いオイルが散らされ、切ったレモンが会えられている。レモンが持つ、本当のすがすがしさと力強さを感じるパスタで、思わず唸った。体を浄化するような力がある料理だった。
続いては、「敦賀真鯛の白ワイン蒸し。蕎麦粉のリゾットと。自家製柚子胡椒」が運ばれる。雑穀を混ぜたリゾットの上に鯛が鎮座する。タイの上品な甘みが、祖母この素朴さでより洗練される。
続いて小さな籠が運ばれ、開けると紫蘇の実のオイル漬けを混ぜ込んだおにぎりが現れた。そんなおしのぎが嬉しい。
肉料理は猛々しい若狭牛のグリルがだされ、デザートへ続く。
店名は、フランス語で光、輝きを意味する「ラクラルテ」からとったという。
人や街を照らすような場所にしたいという思いから、神楽店のコンセプトは“光照らすレストラン”にしたとのことだった。
食べ終わって思う。
気比神宮大鳥居からの神々しい光が指す場所にあって、それだけでもう気分が晴れる。
その上で、温かき想いが詰まった料理が、心に光を照らしてくれる。
それは春の陽だまりにいるかのように、幸せが満ちていく時間をくれるのだった。
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。