迫力あるカツが積み重なった、豪気なソースカツ丼。
店に入った瞬間、揚油とソースの香りが混ざった、いい匂いに包まれた。
洋食店ならではの、食欲をそそる匂いである。
グリルと名付けるからには、大好物のチキングリルはあるかな?
そう思い、メニューを見て目を丸くした。
とんかつ、海老フライ、ビーフカツ、焼肉定食と、グリルは一切なく、
フライ中心だったのである。
グリルなのに、焼肉以外フライの三種しかない。
豚、牛、海老である。
なので、この組み合わせしかない。
いわく、豚海老ミックス、豚牛、海老のミックス丼か定食である。
昔は他の洋食をやっていたが、フライしか頼む人がいなくて、特化したのかもしれない。
なにしろソースカツ丼の国ですから。
そこでソースカツ丼と単品でエビフライを頼んだ。
かつ丼が運ばれる。
丼の蓋が閉まらず、カツが隙間からのぞいている光景がいい。
とんかつを沢山揚げて乗せてみました、という姿勢がいい。
たまらず蓋を開けてみた。
肉厚のカツが5枚ほど重なり合っている。
一番上のカツを頬張る。
「熱っ」。
火傷しそうなほど、熱々なのが素晴らしい。
やはり揚げ物は、熱々であってこそ、味が生きる。
「あちちっ」と、言いながらかじりつく。
他店より2倍近くある,カツの厚さが嬉しい。
肉に食らいつくコーフンがあって、鼻息が荒くなっていく。
肉を齧る。
その勢いでご飯を掻きこむ。
肉を齧る。
ご飯を掻きこむ。
次第に気分が上気してきて、箸を持つ手が加速していく。
ソースの甘辛さもちょうど良い。
しつこすきないのだが、ちょうどご飯が恋しくなる濃さなのである。
海老フライも登場した。
マヨネーズにレモンを絞って混ぜ、そこにつけて食べる。
これまた熱々で、
「あちちっ」と言いながら頬張れば、
海老の甘い香りとパン粉の香ばしさが入り混じる。
ブリッよりグリッとした、手応えのある食感もいい。
ああこれでソースカツ丼にしたらうまかろうな。
今度はそれにしよう。
お店の場所はこちら
グリルやまだ
〒911-0035
福井県勝山市郡町1丁目2-18
TEL:0779-88-5656
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。