日本三大ご当地ライスの一つ、ボルガライスは進化していた。
長崎のトルコライス、金沢のハントンライスと並ぶ、日本三大ご当地ライスである福井のボルガライスは、オムライスの上にカツを乗せた料理である。
お腹がすいていたらたまらぬものだが、満腹だと苦痛以外はない。
そう思ったが、食べ始めたらスプーンが止まらなくなった。
このうどん屋「越前麺処江戸屋」の「ボルガライス」には工夫があったのである。
まず上の卵が、薄焼きではない。
厚みがあって、出汁を効かせてふんわりとまとめた卵焼きなのである。
中はちくわを忍ばせたデミグラスご飯で,デミグラスソースがたつぶりかかる。
またこのデミグラスが曲者で,味噌を溶け込ませてあるので,味噌の甘味と旨みが味を丸くさせている。
つまり優しさを優しさで包んでいるというわけである。
その優しさに、カリリと揚げたとんかつがアクセントする。
優しさと凛々しさの対比が楽しく,スプーン持つ手が止まらなくなる。
食べながらボルガライスに鼓舞されている気がした。
しかしタベアルキストは一軒では終わらない。
ボルガライス2軒目も行ってみた。
こちらは同じ町内の「クールディーズカフェ」という。
そう、うどん屋でもカフェでも、越前町ではボルガライスが出されるのであった。
こちらのボルガライスは、ケチャップライスに人参小さな四角に切ったピーマン、玉ねぎ、ハム、という布陣であったケチャップライス。
ケチャップは控えめで胡椒が振られている。
その分ソースは、ケチャップ感が強いデミグラスが卵とカツにかけられる。
上からはお好み焼きのように、線状にマヨが絞られて、花を添える
面白い薄焼き卵であった。
包まない。開かない。
平な片面焼き半熟卵焼きなのだ。
つまり、焼いて上が半熟状態になっている。
ここもいい。
考えがある。
困ったことに、30軒はあるというすべての店で食べたくなってしまった。
お店の場所はこちら
【1軒目】
越前麺処江戸屋
〒915-0832
福井県越前市高瀬2丁目6-15
TEL:0778-24-3248
公式サイトはこちら
【2軒目】
クールディーズカフェ
〒915-0801
福井県越前市家久町401-1
TEL:0778-21-1930
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。