福井県民が推薦せんする人気店で、おろしそばの洗礼を受けるの巻。
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そば処福井でそばを食べたい。
そう思ってどこがいいか、福井県人聞くと、多く名が上がるのがここ「やすたけ」である。
実際福井県蕎麦屋ランキングで一位とんっているという。
開店早々に関わらず、すでに満席で、しばし待ってから入店した。
やはります頼むべきは「辛味おろしそば」だろう。
東京の人間にとって、辛みおろしそばとは、大根おろしがそばの上かもしくは添えられていて、蕎麦つゆに入れるか、つゆをぶっかけるやり方である。
しかしここの辛味おろしそばには、真っ白な汁が添えられていた。
「これはなんですか?」と、聞くと、
「辛味大根のしぼり汁で、出汁醤油と混ぜて、そばの上から掛けてください」という。
昔、まだ醤油が普及していない頃は、おろし汁に味噌を溶いて漬け汁としていたというが、その名残りか。出汁醤油は甘めで、おろし汁は辛い。
この甘い辛いの塩梅がよく、混ぜればほどよく調和して、そばの優しい甘みを受け止める。
この食べ方は癖になるな。
細打ちを食べ、太打ちをおかわりした。
細打ちは微かな草香が魅力で、太打ちは、噛み締めるうちに甘みが滲む。
ああ、どちらも捨てがたい。
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。