各地各町に名菓あり、三国名物「酒饅頭」を食べ比べてみた。実はスイーツ王国福井Vol.5
<実はスィーツ王国福井VOL5>
スィーツ王国福井の一つは、各地方に、その町に定着した歌詞があることである、
その一つ三国は「酒饅頭」扱う店が多いことで知られる江戸時代、三国湊が北前船の寄港地として日本海交易の重要な拠点となっていた頃に、大阪を経由して砂糖などの積み荷を運んで来た北前船の船頭たちが、三国湊に何日か停泊していた時に、地元の人達に酒万寿の製法を教えたとされている。
かつては、べにか、浜清、上番屋などたくさんのお店があったが、現在扱っているのは、「西坂」、「元祖小山屋」、「いまで涛花堂」、「酒粕ノ國」になるらしい。
今回はそのうち3軒を食べてみた。
にしさかの酒まんじゅう。
「長」の烙印が押された酒饅頭は、ほんのりと漂うお酒の香りと、しっとりした餡とのバランスがいい饅頭である。
餅米に糀を用いて甘酒を仕立て、甘酒の香りが出たところに小麦粉を加え、発酵熟成させた種に餡を包んで蒸しあげたものである。
にしさかの酒まんじゅうを食べて思った。
酒饅頭は、出来立てを食べなくてはいけない。
包みの上から温かく、早く食べてよと、言われているようである。
包装ラップを取ると、ほの甘い香りが鼻をくすぐって、思わず笑う。
その香りは、甘酒の純粋。
焼き印のとこパリッとしてその対比がいい。
香りの余韻が長い東京の酒饅頭に比べると皮が薄い。
だがその分、滑らかなあんこと皮との対比が生まれるのだな。
「いまで涛花堂」の酒万寿はどうだろう涛の烙印がされた饅頭は、かなりもちもちで、甘さが濃い。
皮のコシがかなり強い餅感があるのだなお酒感は弱く、お酒が苦手な人にはおすすめである。
嫌な人はいいそのコシのあるか皮としっとりした餡とが重なって、
食べごたえがある酒饅頭である「酒粕ノ國」の酒饅頭は烙印がない。
吉田酒造、白龍純米吟醸と酒粕をふんだんに使用した酒饅頭だという。
酒の香ばしさが高く、酒に比重を置いた饅頭のようである。
皮は餅的というよ料理、パンのようであり、それがあっさりとしたあんことよく合う。
どうでしょう。
3軒食べ比べただけでこの違い。
三国へ行って食べ比べをしてみませんか。
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。