福井県民のソウルフード、炎に包まれる秋吉本店。

片町の「秋吉」に誘われた。
その瞬間「えっ?」と思った。
「秋吉」と言えば全国チェーン展開する焼き鳥屋である。
東京にも何軒かあって一度行ったことがある。
福井県人のソウルフードだというのはわかる。
でもなぜ福井に来て、わざわざ本店とはいえ、チェーン店に入らねばならないのか。
もっと他の店に行きたいよぉという、「えっ?」なのであった。
しかもその方は食通である。
目配せしながら、「軽く行きましょ」という。
入ってカウンターに座って驚いた。
焼き場の炎が凄まじい。
東京の「秋吉」は、あんなに炎が出ていない。
まさに立ち上る炎の中で、鳥が焼枯れていく。
焼き具合も注文でき、写真は普通、次の写真は、左が若いやきで右がよく焼きである
また県民と県外民と違いは、頼み方に現れるという。
県外民は「純けいと皮お願いします。え?はい、5本ずつのやつで」と
いった具合だが、県民人は、「けい10にしろ10」と、2セットずつ頼むらしい。
やはり本場は、肉の味も雰囲気も勢いがある。
お腹一杯だったのいうのに、ぺロリと食べてしまった。
食べながら疑問に思ったことがある。
直営店は4店舗だというが、
1、なぜ全国100店舗近い、フランチャイズを築くことができたのか。
2、炭火だというが、なぜあんなに炎があがるのか?
3、二つある焼き台の肉の仕分けはどうなっているのか。
4、伝票はあるものの、矢継ぎ早に入る注文を、なぜ焼き手は全て覚えているのか。
5、胡瓜にかける調味塩とタレは、経営親族だけの一子相伝らしいのだが、どこがそんなにすごいのか?
6、なぜ砂肝は入荷していない時が多いのか。などと、次々に疑問が湧いてきた。
誰か教えて欲しい。
以来ハマった。
そして次に東京からの旅人を案内した時も、「えっ?」と言われながら「秋吉」に案内し、喜んでもらったのである
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。