波しぶきがかかるラーメンと顎を鍛えるうどん

半世紀ほど前、敦賀の駅前には、多くの屋台ラーメン屋があったという。
当時敦賀には、福井の片町より盛んな飲み屋街があり、多くの人が飲み歩いた時代である。
そんな飲兵衛たちの締めを受け止めるため、多くのラーメンや帯が軒を連ねたのだろう。
だが今は、もう3軒ほどしかない。
その中の一軒として屋台を出されているのが、ここ「松月」である。
早速ラーメンを三種類頼んでみた。
醤油、鯛出汁、レモン鯛である。
まずは鯛出汁が運ばれてきた。
一口飲めば、鯛の香りがぐいぐいと、迫ってくる。
目を瞑れば、波しぶきが、ざぶんとかかってきた。
鯛の旨味が舌につもっていく。
食べ終わると唇の周りが、コラーゲンでペタペタする。
一方、醤油白湯は、こっくりとした味わいである。
麺に、濃厚なスープのうまみがからんで、口元に登ってくる。
こいつはご飯をもらって、スープかけご飯にしても美味しいぞ。
次はレモンである。
最初は塩白湯だけで食べ始め、その後少しずつレモンを絞って食べると、後口爽やかになる。
だから麺を、ぐいぐい啜ってしまう
ああこれは、飲んだ後の締めラーメンとして食べたいなあ。
醤油の方は、出汁は豚骨、鶏ガラ、昆布鰹で、鯛の出汁は。昆布鰹と鯛あらとケールだという。
具材にもケールの根っこと玉ねぎ、チャーシュー、メンマが入る。
ケールは珍しい。
その苦味が深みにつながっていくのだろうか。
ちなみに屋台は、こうした白湯ではなく、うどんのあっさりとした出汁に中華麺を入れた醤油ラーメンを出しているそう。
料理も注文してみた。
名物だという「赤カレイの定食」である。
身はほの甘く、縁側も頭もさくさくと、軽快な音を立てながら砕け散る。
他にも、鳥の唐揚げと揚げ出し豆腐と、揚げ三種がついてくるので、ご飯が進んでたまらんのですね。
そしてここの魅力はラーメンだけではなかった。
うどんもいい。
初代が讃岐で修行したといううどんは、腰が強く、歯を押しかえす。
滑らかなうどんを噛めば、もちもちと30回かんでようやく消えていく。
顎を喜ばす、うどんなのであった。
お店の場所はこちら
屋台ラーメン松月
〒914-0051
福井県敦賀市本町2丁目11-1
TEL:0770-23-0296