3回噛んだら夢となるパンケーキと凛々しいソースカツ丼の巻

三方の街道沿いに、白亜の瀟洒なカフェが佇んでいた。
「竹の子」という、洋風な建物には似つかない店名看板と、その下には、さらに似つかない「えび丼、カツ丼」の文字が輝いている。
正式な名前は、「バンブーカフェ」という。
実は、県外からこの店のパンケーキを求めて、大勢のお客さんが訪れる人気店である。
人気の秘訣は、季節ごとに福井食材を使ったパンケーキを出していることにある。
和栗やマスカット、りんご。あるいはシナモンのパンケーキ、ブリュレパンケーキ、ティラミスパンケーキ、クリスマスパンケーキなどで、今年のクリスマスパンケーキコンセプトは恐竜だという。
いろんな食感を楽しめるように店主が考え出した。
「パンケーキは、小麦粉と水で焼いたものですが、それではあまりにも素朴すぎるので、いろいろ企画を考えています。だが基本はシンプルにします」と、店主は言われた。できるだけそれに近い形でやります。
生地は、粉と牛乳が主体で、少しだけメレンゲを入れ、彼が、鉄板で仕上げていく。
ふわふわのパンケーキは、口に入れると、3回噛んだだけで、夢のように消えていく。
ここにたっぷりとバターを合わせて食べれば、バターの風味がパンケーキを包み込み、豊かな気分となる
さらにレモンを絞って食べてみよう。
爽やかな酸味が加わって、さらに軽やかになりあ、後を引く。
次はメープルシロップの番である。
シロップのコクと濃密な甘みが加わって、思わず笑顔が生まれた。
最後はクリームかな。
なめらかなクリームとふわふわのパンケーキが抱き合い、再びパンケーキは夢となる。
「ナッツと塩キャラメル」もいただいた。
キャラメルソースに塩を振っているので、ところどころしょっぱいのがいい。
パンケーキ自体がおいいしいので、様々な果物との出会いも楽しいだろう。
さてこの店の名物、ソースカツ丼も食べてみよう。
現れた、ソースカツ丼はボリュームが激しい。
ご飯の上に、ソースにまみれた分厚いカツがそびえ立っている。
凛々しい勇姿に、胃袋が鼓舞される
もともとここは、ステーキハウスで、おじいちゃんが作ったソースを受け継いでいるという。
今まで方々で「ソースカツ丼」をいただいたが、この店はベスト3に入るだろう。
店名は 店の裏が竹藪だったことと、地元に根づいていくようにとの願いを込めて、初代がつけたという。
その思いは、地元のお客さんにも受け継がれて、法事もここでやられる方が多いという。
でも法事の最後の甘味は、和菓子ではなく、パンケーキなのであった。