咄嗟に「うまいっ」と叫ばせる、カレーうどんがここにある

テレビに出ているレポーターたちは、料理を食べた瞬間に「うまいっ」と叫ぶ。
どんな料理にもである。
しかしあれは半分本当で半分演技だと思う。
普通料理は、口に入れてよく咀嚼し、香りが鼻から抜け、喉に消えたのちに本当のうまさがわかるからである。
僕は料理をいただくときは、食感や鼻先からくる香り、噛んでいく中での味の変化、範囲抜けていく香りを仔細に観察してから、表現するようにしている。
しかしテレビ番組においては、しばらく黙っていることとなり、放送事故になってしまう。、
そのため、咄嗟の発言が必要なのである。
だがそのうどんを食べた時、「うまいっ!」と、思わず叫んでしまった。
これはダイレクトにうまいと言わせる力がある、カレーうどんである。
カレー自体がおいしいのに、チーズを中に溶かし込んであるのカレーうどんは、反則である。
名前を「とろとろチーズの石焼カレーうどん」1520円という。
なにしろ石焼きであるから、運ばれた時には、石の丼の中でカレーが沸沸とたぎって湯気をあげている。
そしてなぜか脇には、串揚げがついていた。
熱々のうどんを持ち上げると、うどんの白色にカートの茶が絡み、その下から黄色いチーズがうどんにからみつきながら登ってくる。
ハフハフ言いながらうどんをすすった瞬間、不覚にも「うまいっ」と叫んでしまった。
さらには、串かつをこのカレーチース汁に、浸けてもうまい。
もはや、「串かつチーズカレーフォンデュ」である。
きっとこれを考えたご主人は、かなりの食いしん坊なのであろう。
食いしん坊であるから、他の料理もちょいと変わっている。
「ロースビーフ丼とカレーつけそば」1550円は、マイルドなカレーつけ汁に蕎麦をつけて、たぐる。
カレー汁に、持ち上げた蕎麦の下3分の1くらいを浸けてたぐれば、最初は蕎麦の香り、次にカレー香がやってくる。つけて
脇の若狭牛のローストビーフ丼の肉はしなやかで、肉の味がある。
「桜エビかき揚げとざるそば」1550円は、かき揚げを食べた途端に、口の中が海老の香りで満たされる。
つけ汁にかき揚げをバラして入れ、蕎麦と一緒にたぐっても楽しい。
さらに「蟹豆乳蕎麦」は、優しい。
体がじんわりと温められて、体が労われる温泉感がある。
そして後から来る蟹の風味に笑うのだった。