福井の郷土食7選!滋味あふれるおいしい食の数々を紹介します。
おいしい食べ物との出会いは、旅の楽しみのひとつ! 山の幸や海の幸に恵まれた福井では何を食べても言うことなしですが、地元の人たちが日々の暮らしの中で当たり前に食べている食もぜひ味わってほしいと思います。今回は福井が誇る7つの郷土料理をご紹介。昔からの知恵が詰まった保存食や発酵食は、ごはんにもお酒にも合うものばかりです。これを読めばきっとアナタも福井の郷土料理通!
福井の発酵食のナンバーワン代表選手!「へしこ」
へしこは若狭地域や越前海岸の沿岸地域に古くから伝わる福井の伝統的な保存食です。魚の内臓を取りだして塩漬けし、さらに米麹や唐辛子を入れた糠に漬け込んで作ります。昔は厳しい冬を越すための貴重なたんぱく源として重宝されていました。有名なものはサバのへしこですが、イワシやフグのへしこもあります。糠を軽く落としてあぶって食べたり、洗って糠をしっかり落とし薄切りにしてお刺身のようにして食べるのが一般的。塩気と独特の旨みが効いているので、お酒やごはんがすすみます。最近では、お茶漬けやピザなど様々な料理の材料としても大活躍!福井の居酒屋さんでへしこを使った料理を見かけたらぜひ頼んでみてください。
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福井の郷土料理「へしこ」とは?美味しくて健康にもいい発酵食品を解説!
福井の日本海側を中心に伝わる郷土料理「へしこ」。2007年12月には農林水産省から発表された「日本の郷土料理百選」にも選ばれるなど、全国的に人気・知名度が高まっている、注目の食べ物です。ここでは、へしこがどんなものなのか、作り方や食べ方、栄養などについてご紹介します。
県民のソウルフード「油揚げ」。消費額は50年間日本一!
県内各地のスーパーマーケットに行くと、まず油揚げの種類の多さに驚きます!福井県は、何を隠そう油揚げの消費額が50年以上ものあいだ1位を誇る油揚げ王国なのです。分厚くずっしりと重量があり、他県では「厚揚げ」と呼ばれているものが福井の一般的な油揚げです。煮てよし、焼いてよし、炒めてよしと万能な油揚げは、福井の全県民に愛されるソウルフードと言っても過言ではありません。2019年からは県内各地の油揚げを楽しむイベント「あげフェス」も福井駅前で開催されています。各店で食感や味は千差万別。スーパーや道の駅などで、自分のお気に入り油揚げを見つけてみてはいかがでしょうか。
お祝いの席や、半夏生で食べられる「丸焼き鯖」
おだやかな海が広がる若狭地域では豊かな海の幸がとれたことから、古代から都の食をになう「御食国(みけつくに)」として発展してきました。魚介類の中でも、脂がのり味が良いサバは、塩漬けにされて京都まで運ばれました。現在も京都の出町商店街まで続く「鯖街道」がその名残伝えています。そんな若狭地域では、竹串に刺して丸ごと焼かれた「丸焼き鯖」が、結婚式などお祝いの席ではつきものでした。一方、嶺北(れいほく)地方の大野市周辺では夏至から数えて11日目の7月2日、半夏生(はんげしょう)と呼ばれる日に、この丸焼き鯖を食べる風習が残っています。昔は大切な日に食べられたぜいたく品。竹串から外して生姜醤油で食べるのが王道です。
漬物と煮物のハイブリット「たくあんの煮たの」はおふくろの味
「たくあんの煮たの」は名前の通り、酸っぱくなったたくあんの古漬けを塩抜きし、出汁や醤油、とうがらしなどの調味料で煮た郷土料理です。そのままでも食べられる漬物のたくあんをひと手間かけて煮物に仕上げることから、「ぜいたく煮」という呼び名でも呼ばれています。家庭では前年に漬けたたくあんの酸味が出てくる8月上旬から11月下旬までよく作られていますが、スーパーマーケットのお惣菜コーナーでは年中見かけるポピュラーな料理です。温めても冷めてもおいしいごはんのお供。各家庭でつくるたくあんの煮たのはそれぞれの家の漬物の味、煮物の味が活かされた、まさに「おふくろの味! 」と言える郷土食です。
「ニシンすし」は北前船がつないだ北との交流の味
福井県にはかつて北は北海道から大阪まで海路でつながった北前船の寄港地がありました。その代表的な寄港地であった敦賀では、北の海の特産品、身欠きニシンや昆布が大量に荷揚げされていました。その身欠きニシンを使ってつくられたのが、敦賀で食べられる郷土食「ニシンすし」です。米のとぎ汁につけた身欠きニシンに、米麹と塩漬けした大根を交互に重ねて漬け込んだ保存食。敦賀では冬のごちそうとして、正月のおせち料理にも入れられます。冬のイメージが一般的ですが、夏の敦賀祭りのごちそうとしても欠くことのできない一品です。敦賀の居酒屋さんでは自家製のニシンすしを出すところもあり、日本酒との組み合わせが抜群です!
村の人たちが集まる場所で食べられる山里の葉ずし
福井市の山間にある殿下(でんが)地区で作られている「葉ずし」。お盆や秋祭り、法事など人が集まる席でつくられていた郷土食で、油桐(あぶらぎり)という葉に包まれたおすしです。油桐の葉は、ごはんが表面に付きづらく、保存性に優れているため、地元では「すしの葉」とも呼ばれています。葉ずしの中身は、金時豆などの甘い煮豆や、ひじき、干ししいたけ、薄あげ、人参などの混ぜこまれた五目ごはん。油桐の葉で包むことでさわやかな葉の風味がごはんにうつり、さっぱりと食べられます。葉寿しを通年販売しているお店がないので、ちょっとレアな郷土食です。見つけたら迷わず購入です!
信仰が伝える大切な行事「報恩講」は郷土食のフルコース!
報恩講(ほうおんこう)は、仏教にとって大事な行事のひとつ。浄土真宗の信仰があつい福井では、親鸞聖人(しんらんしょうにん)の命日である11月28日を中心に秋から新年にかけて、各寺院で報恩講が行われます。「ほんこさん」「ほんこさま」と呼ばれることも多く、地元ではなじみ深い重要な年中行事です。その期間中に集まった人たちにふるまわれる一汁三菜を基本とした精進料理が報恩講料理。地元の収穫物を持ち寄って、女性たちが伝承された作り方でつくるため、その土地の特色が色濃く出ます。お膳の中には「麩の辛し和え」や「呉汁(ごじる)」「すこ」など福井の味がずらりと並び、まさに郷土食のフルコースが楽しめます。
小さな樽に詰まった海の幸「小鯛の笹漬け」
リアス式海岸に囲まれた若狭湾は、日本海の荒波のもと、身が締まったおいしい魚が獲れることで有名です。なかでも「小鯛の笹漬け」は、小浜市を代表する珍味。10センチにも満たないレンコダイを3枚におろして塩と米酢に漬け、防腐作用のある笹の葉とともに杉で作った小さな樽に詰めていきます。杉のさわやかな香りをまとった鯛の身はふっくらとしており、一口食べるとほんのりとした酸味が口の中いっぱいに広がります。そのままはもちろん、寿司のネタや天ぷら、フライにするのもおすすめ。日本酒だけでなく白ワインにも合うとお土産にも人気です。
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福井ならではの食材を使用した料理をご紹介!「美食観光」
味わい深い地方の魅力、
珠玉の一皿に出会う旅へ。
海、山、里に抱かれた福井県。
特有の気候風土で育つ滋味、鮮度の良さは無二。
季節ならではの食材を用い、作り出される味わいと同じだけ、福井の魅力を知ることができる。
訪れたら味わいたい美食の数々、この地でしか出会えない一皿の饗宴へ
福井駅前のカフェ店主。福井に暮らしてはじめて8年目。3歳のやんちゃ坊主の子育て中。好きな福井の日本酒は花垣。好きな福井の酒の肴は塩雲丹。