【美食福井】復活した伝統野菜「吉川ナス」は、丸い形と甘くとろける美味しさで人気
丸くコロンとした見た目が愛らしい「吉川ナス」は、1000年以上の歴史があるともいわれる福井県鯖江市の伝統野菜です。
一度は生産が途絶えかけましたが、地元有志の尽力で危機を乗り越え、見事な復活を遂げました。
引き締まった肉質で、皮が柔らかいのに形が崩れず、甘くとろけるような味わいが魅力です。
【収穫時期】6~11月
【産地】鯖江市
【動画】「吉川ナス」の美味しい魅力を凝縮
「吉川ナス」で料理が魅力的に
「吉川ナス」は大きいものだと300gを超え、大人でも片手で1個を持つのがやっとというサイズ。吉川ナスを初めて見るとその丸い形と大きさに驚くはず。食せば、口の中で甘くとろける味わいに二度びっくり!特に油との相性がよく、厚めに輪切りにして多めの油で焼き、塩をまぶすと甘味が引き立ちます。また、肉質が締まっており、煮崩れしにくいのも特徴で、料理が見た目よく仕上がります。
吉川ナスは皮がやわらかく味にクセがないため、和洋中問わずどんな料理とも相性抜群です。福井県内の飲食店や旅館では、吉川ナスの田楽、パスタ、吉川ナスを器に見立てた創作料理が人気です。
消滅の危機を乗り超えて復活
吉川ナスは2016年、伝統野菜では全国で初めて「地理的表示(GI)保護制度」(食材や食品などの名前を生産地や特性とともに地域の知的財産として保護する国の制度)に登録されました。
伝統と品質が高く評価されている吉川ナスですが、過去には生産が途絶える危機もありました。
吉川ナスは、昭和初期には福井県鯖江市で盛んに栽培されていましたが、品種改良がされていない吉川ナスは栽培が難しく、生産者は減少し、ついに1軒に。その最後の生産者も亡くなり、消滅の危機に瀕したとき、立ち上がったのが地元の有志たちでした。「このまま伝統を絶やしてはいけない」と2009年に「鯖江市伝統野菜等栽培研究会」を結成。生産者の遺族から吉川ナスを3個譲り受け、その実から種取りをして生産をつないだのです。その後、研究会メンバーで知識や技術を共有しながら、品質と生産量の向上に成功。現在では年間約13tを出荷しています。
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【おいしい豆知識】
吉川ナスは「賀茂なす」の親戚?
京都の伝統野菜として有名な「賀茂なす」と吉川ナスは、互いに丸い形が特徴で、近い関係ではないかと言われています。
引き締まった肉質や甘味のある味わいも似ています。
吉川ナスは「ナスの女王」とも称される賀茂なすに勝るとも劣らない美味しさです。
枝の“世代交代”で元気に育つ
研究会結成時のメンバーの一人で、現在は研究会の会長を務める福岡重光さんは、吉川ナスをハウス栽培しています。まず苗を畑に植えるのが4月中旬。ハウス栽培の場合、5月の終わり頃には収穫ができるようになり、11月終盤まで収穫期が続きます。
福岡さんは、吉川ナスと小松菜やメロンを交互に栽培しています。それは、同じ作物を同じ畑で繰り返し作ると起こりやすい「連作障害」を防ぐため。また、同じ畑で違う種類の野菜を混ぜて育てることで病気を抑えたり生育を助ける「コンパニオンプランツ」にも取り組んでいます。
厳しい規格で選別し出荷
福岡さんは、朝収穫した吉川ナスに傷がつかないよう1個ずつ袋に入れ、専用の集荷場に運びます。集荷場では、新鮮なうちに品質と重さで選別。吉川ナスとして出荷されるのは、傷みや変形が少ない高品質の証である「秀」という規格を満たしたもののみで、「秀」に次ぐ「優」の品質のものは主に加工用として活用されます。重さが200~240g未満は「小」、240~290g未満は「中」、290~340g未満は「大」、340g以上は「特大」になります。
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【おいしい豆知識】
道の駅でしか食べられないバーガーも
吉川ナスの収穫時期には「吉川ナスバーガー」が「道の駅西山公園」に登場!
そぼろ味噌味、山うにマヨネーズ味、てりやきソース味の3種類で、パティの代わりにぶ厚い吉川ナスの輪切りをサンド。ボリューム感たっぷりでヘルシーな人気商品です。
道の駅では、吉川ナスや大豆、シソの実などで作る「吉川ナスはまなみそ」という加工品も販売されています。
「吉川ナス」を食べられるお店の紹介
地元の人に聞く「吉川ナス」のおすすめレシピ
吉川ナスのあんかけ
【材料(2人分)】
吉川ナス 2個
しいたけ 2個
パプリカ赤 1/2個
鶏ひき肉 250g
胡麻油 大さじ2
すりおろし生姜 適量
-あん-
昆布のもどし汁 200cc
しいたけもどし汁 200cc
しょうゆ 大さじ1と1/2
みりん 大さじ1
-水溶き片栗粉-
片栗粉 大さじ1
水 大さじ2
【作り方】
①吉川ナスを厚さ2cmほどの輪切りにする
フライパンに胡麻油を入れ吉川ナスを両面揚げ焼きにする
②フライパンから吉川ナスを取りだしバットによけておく
③空いたフライパンに鶏ひき肉を入れ炒め、火が通ったらあんの材料を入れ10分ほど煮たあと火を止めて水溶き片栗粉を入れる
再び火をつけて混ぜ合わせてからバットに取りだしておいた吉川ナスを戻してひと煮立ちする
④皿に吉川ナスを置きあんをかけ、すりおろし生姜をのせて完成
<レシピ監修 料理研究家 道廣喜子さん>
【美食福井とは】
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