「荒島岳」は日本百名山の著者「深田久弥」氏ゆかりの山!1,500m級だけどなめちゃいけない!
日本百名山の中でも1,523mと低い部類の荒島岳。WEBサイトやYoutubeでも「低山と舐めててすみません!」という声も!?
標高からは想像できない登りごたえと、四季を通じた景観の良さをぜひ体験してみてください!
HIR☺︎
福井生まれ福井育ち生粋の福井人。写真歴は20年以上。嶺北奥越を中心に福井県内の風光明媚な名勝奇勝を撮り歩いてます。
9230 view「日本百名山」ってそもそも何?
日本百名山は、NHKで番組化もされた田中陽希さんの「百名山一筆書き グレートトラバース」でご存じの方もいるかもしれませんが、登山家であった深田久弥氏による随筆集です。深田氏が実際に登った山を、人格ならぬ山格(山の気品や独自性など)の観点で100座選び紹介しています。
北は北海道、南は鹿児島県の屋久島まで津々浦々の山々の中で、福井県は荒島岳が選ばれています。
深田氏は、福井のすぐ横の石川県加賀市の出身。母方の実家が福井県福井市だったこともあり、旧制中学(今の高校)は福井市の藤島高校に通っていたので、まさに地元の山だったわけです。実際に登ったのは福井から出た後のようですが勝山市から子供時代に見た風景がずっと心に残っていたとのこと。
そのため、WEBサイトでも荒島岳を検索すると「深田久弥の地元びいきなんじゃないの?」「ほんとにそんないい山なの?」という声がちらほら。確かに、北アルプスの3,000m級の峰々に比べれば1,500m強の荒島岳に疑問を抱くのは仕方がないのかもしれませんが…。
「荒島岳」ってどんな山?
荒島岳は1,500mくらいの山なので…、と百名山完登を目指す人の中でもだいぶ後回しにされやすいのですが、その山体は、勝山方向から見れば綺麗な三角形で、大野富士とも言われ(大野方向からだと連なる峰々があるので三角形ではないですが)、深田氏も「子供ごころにも、美しい山だなと印象に残った」と記しています。また、山の気品という点にも触れていて、福井の山で選定に悩んだ能郷白山と比べても荒島岳が上だと言っています。
登山道は4つ、勝原、中出(なかんで)、下山、佐開(さびらき)とあって、今のメインルートは国道158号線から逸れてすぐの勝原コースですが、深田氏は中出コースから登ったようですね。
標高は1,524mですが、大体400m地点くらいから登り始めるので高低差は1,100m前後。「もちが壁」などの急登もあって、登りごたえがあります。
勝原コースは、旧勝原スキー場跡の登りがやばい!?でもおススメです!
勝原コースは国道158号線に、ほぼ面している場所に駐車場があり、すぐに登り始められるため人気があります。
旧勝原スキー場跡のため、道はコンクリートで整備されています。写真では伝わりにくいですが、スキー場だっただけあって結構な急こう配の斜面が長く続く登りはじめです。
でも、ペースさえ守れば大丈夫。登りはじめで焦ってスピードを上げるとバテますが、序盤は落ち着いて登れば、実は道が一番整備されていて登りやすいルートになっています。
2枚目の写真にあるのは、リフトの跡で、本当の登山口はここになるのですが、昔はここまでリフトで行けたからなんでしょうね。今はじっくりとそこまで登る必要があります。その代わり開けた道を上っていくので、序盤から高揚感があって、とてもおススメですよ!
中出ルートは小荒島岳経由で眺望が綺麗!深田氏も登ったルートです!
荒島岳の横にちょっとだけ頭を出した小荒島岳。その小荒島を経由して登るのが中出ルートです。
道の駅「荒島の郷」の後方へ2㎞程度車を走らせる必要があり、勝原よりは人気がありません。しかし、佐開ルートはアクセス悪く、下山ルートはきついので、勝原ルートか中出ルートの2択になると思います。
日本百名山には、中出から登ったと書かれており、深田氏も登った由緒あるルートですね。ただ、小荒島の眺望は良いものの途中のルートがずっと森林帯で眺望はほぼありません…。
でも、ブナ林まで抜けると、気持ちのいい森林浴ハイクができますよ。
勝原ルートも、中出ルートもシャクナゲ平という荒島岳の手前のポイントで合流します。
白山が正面に見える!頂上の眺望は最高です!
シャクナゲ平から進むと荒島岳の核心部であり最難関の「もちが壁」があります。急登ですが、ロープもあるし急がなければ子供でも登れます。
そこを越えれば400m程度で山頂へたどり着きます。
荒島岳は富士山のような単独峰ではないないものの、大野平野に面しているので非常に眺望が良いです。それに、白山のすぐ近くに位置しているので、白山を望むには最高のロケーション。
北陸はなかなか晴れ間が少ないですが、晴れたときに山頂にいれば素晴らしい風景が望めます!
山頂には祠があり、昔から信仰の対象だったようです。
実は冬に本領発揮!?冬季の荒島岳は北アルプスにも負けない美しさ
日本海側に位置する福井県。豪雪地帯なので、1,500m強の荒島岳でも雪が豊富で、風景は夏と一変し物凄い迫力になります。
北アルプスは、なかなかアクセスが大変ですが、勝原ルートは国道158号線に面しているので、冬季のアクセスもらくちん。それでいて、このド迫力の冬山が楽しめるので、百名山を狙っている方はぜひ冬に来ることをおススメしたいです(もちろん低いとはいえピッケル・アイゼンなど厳冬期用の装備は必須)!
荒島岳を望む道の駅「荒島の郷」や大野城近くの七間朝市もおススメ!
荒島岳は、天空の城で有名な越前大野城(亀山城)や城下町の面影が残る七間通りの朝市、荒島岳を望むロケーションの「道の駅 越前おおの 荒島の郷」なども近くにあります。ちょっと足を延ばして横の勝山市に行けば有名な「恐竜博物館」もあるロケーションです!
個人的におススメなのが、七間朝市です。夏に行ったときはでっかいスイカが800円で売っていて、なぜかさらに200円値引きで600円でした…。
他にも山菜や野菜、手作りパンなどの出店があったりしますがどこも安い!最近店数が減ってるみたいですが、交渉しながら買うのは楽しいですよ!
通りにある和菓子屋「伊藤順和堂」の冬季限定「いもきんつば」はお土産にも最適の旨さ!でも、地元民も結構買いに来るのですぐに売り切れるため予約がおススメですよ!
また、荒島岳のすぐ横に2020年オープンした「道の駅 越前おおの 荒島の郷」は、登山メーカー「モンベル」が入っており、ボルダリングやカヌー体験などもできるアクティビティも楽しめます!
四季を通じて楽しめる荒島岳へ是非お越しください!
福井といえば、冬の越前ガニが有名です!海を楽しんだら、冬の荒島岳の風景を楽しみに大野まで足を延ばすのもいいですね!
紅葉の時期であれば、岐阜県側にもう少し進んだところにある九頭竜湖の紅葉もとても美しく、福井観光をされるのであれば、ここを中心に前後を組み立ててるのもおススメです!
(海から始まるなら 東尋坊→芦原温泉→永平寺→恐竜博物館→平泉寺白山神社→大野城→道の駅 荒島の郷 →荒島岳→九頭竜ダム→九頭竜湖 なんて福井横断の旅ができる)
山を登る人も登らない人も、ぜひお越しくださいね!