若狭おばまの珍味「小鯛のささ漬」の美味しさを世界に伝えたい!
小鯛のささ漬けは、世界で唯一「福井県小浜市」だけで作られる珍味です。
子供のころから大好物のソールフード「小鯛のささ漬」の魅力をご紹介します。
maruekaho
福井県若狭地方出身のmaruekahoです。
若かりし頃はネオン街に憧れて東京に浮気もしましたが、やっぱり若狭が大好き!という事に気づき帰郷しました。日々カメラの目を通して若狭の風景やお祭りを写し撮っています。
小鯛のささ漬とは?
小鯛のささ漬は、新鮮な小鯛を三枚におろして塩で〆て、酢漬けにし、樽に入れた特産品(珍味)で、世界で唯一「小浜市」のみで作られています。
現在は市内にある10店舗が製造しています。
今回は、その中から上杉商店さんに小鯛のささ漬けの製造工程の一部を見せてただきました。
小鯛のささ漬「有限会社 上杉商店」
小浜城跡の近くにある「上杉商店」は、明治より海産物商を営んでいましたが、五代目の祖母が昭和33年より小鯛のささ漬の製造を始め、現在に至るまで50年以上、受け継がれた味を守りながらささ漬一筋で営業されています。
小鯛のささ漬造りをご紹介します。
五代目を継がれる上杉亮介さんに、小鯛のささ漬造りを教えていただきました。
- 小さい時から家業のささ漬造りを見て育ち、中学生になると家業を手伝っていたこともあり、東京の大学を出て5年ほど水産関係の仕事をしたのちに、家業を継ぐために帰ってきました。
小鯛のささ漬は「レンコ鯛」
小鯛のささ漬に使われるのは「レンコ鯛」という種類で、皆さんが良く知っている真鯛と同じタイ科の魚です。
レンコ鯛の特徴は、真鯛ととても良く似ていますが、人でいう目頭の部分が黄色く、体にも黄色斑があるところから黄鯛とも言われ、体長も20~30センチくらいと真鯛より小型です。
昔は若狭湾で沢山獲れていましたが、現在は数も減少し、長崎県や島根県などで水揚げされた新鮮なレンコ鯛を仕入れているようです。小浜ではささ漬サイズの小さなレンコ鯛が一番高いそうです。
- 小鯛の鮮度が味や色に影響するために、上杉商店では冷凍ものは使わずに毎朝吟味した鮮度がいい生の小鯛を、一日に400キロほど仕入れています。
水洗い
頭や鱗や内臓が取り除かれた小鯛を水で洗い、鱗や汚れなどを綺麗に流します。
- 上杉商店の作業に使う水は、平成の名水百選にも選ばれた「雲城水」を地下から汲み上げ、FFC活水器に通して活性化した「生き水」を使っています。
三枚おろし
機械にはまねできない熟練の技で、すべて手作業で三枚におろしていきます。
一日に捌く量は、一人当たり2000匹にもなるそうです。
- 樽詰め3年へぎ8年と言われるほど、手際よく上手に小鯛を三枚に捌くのには熟練の技を必要とします。
上杉商店では、40年近く勤めている熟練の社員さんもいます。
※へぎ(へぎ造り)とは、鯛や鮃などの身が引き締まった白身魚を捌く手法です。
わずか14秒で三枚に捌く熟練の技をご覧ください。
振り塩
三枚に捌いた身を並べ丁寧に振り塩をして、一晩寝かして小鯛の身に味を付けるとともに、余分な水分を抜き身を引き締めます。
※ほかの店によっては、塩水につけるところもあります。
- 上杉商店では塩にもこだわり、国産の二種類の塩をブレンドすることにより、塩の辛さや甘さのバランスよく小鯛の身の旨味を引き出しています。
塩洗い
一晩寝かした小鯛の身についている余分な塩分を水(雲城水)で洗い流します。
- 塩洗いにも雲城水を使います。
塩抜きの加減は、長年の経験で身の状態などを確認しながら調整しています。
酢漬け
お酢や調味酢につけて味を付けます。
浸け時間などは各お店によっても違いますが、上杉商店では小鯛の身やお酢の状態を見ながら、長年の経験をもとに浸け時間を5秒から15秒くらいで調整して味が均一になるようにしています。
- 上杉商店では、小浜で純米酢を300年以上もの間、造られている「とば屋酢店」の醸造酢をベースにした秘伝の調味酢で味付けし、塩味、酸味のバランスがとれた優しい味付けで、レンコ鯛の旨味を引き出しています。
樽入れ
小鯛の身を一枚一枚隙間なく杉の樽に敷き詰めるのですが、身と身の間に白板昆布をはさみ昆布の旨味もプラスしています。
丁寧に隙間なく敷き詰められた小鯛の身の上に、笹の葉をのせて蓋を木づちで叩いて閉めて完成です。
笹には、抗菌、防腐作用があり、また樽を開けたときに、目に飛び込んでくるレンコ鯛の皮の色に笹の緑がいいアクセントになり見た目も美しいです。
※白板昆布は、敦賀名産のおぼろ昆布を作るときに残る昆布の中心の部分です。
- ささ漬に使う杉の樽は、福井県産の杉を使い敦賀市と小浜市で作っています。
杉の樽を使うことにより、小鯛の身に杉の香りを付けるとともに、身に付いた余分な水分を樽に吸わせ、ささ漬の美味さを引き立たせます。
日本酒とよく合う小鯛のささ漬
そのまま食べてもよし、天ぷらやフライ、手毬寿司にしても美味しい小鯛のささ漬ですが、お酒のアテとしても最高で、特に日本酒との相性は抜群です。
福井県と言えば美味しい日本酒を作る蔵元が沢山ありますが、小浜の米と水にこだわった地元「小浜酒造」の日本酒と一緒にいただきたいと思います。
ささ漬けは上杉商店の小鯛のささ漬半樽、お酒は小浜酒造の純米酒「わかさ」を冷酒で、グラスは小浜でガラス工房をされているガラ工房KEiS庵、お箸は小浜で作られる若狭塗り箸と、すべて小浜尽くしにしてみました。
見た目も美しいささ漬けを口に入れると、口の中に杉と酢の香りが広がり、噛むと小鯛の身のもちっとした歯触りに程よい塩味と身の甘さ、そこに優しい昆布と酢の旨さが加わり口の中がささ漬けの味で満たされます。
そこへ冷えたわかさを一口、日本酒の豊かな香りと旨味がささ漬けの旨さと合わさり至福の時です。
わかさは、やや甘口で滑らかな飲み口のお酒で、ささ漬けや海産物との相性もよくてオススメです。
わかさの余韻が残っているうちに、またささ漬けを口へ、お酒がそれほど強くないmaruekahoですがついつい飲みすぎてしまいます。
ぜひ、笹漬や若狭の海産物と若狭の日本酒を味わっていただきたいです。
小鯛のささ漬の購入は
小浜に来られるなら一番のオススメは、道の駅 若狭おばまです。
小浜の特産品を中心に福井県内のお土産がそろう道の駅では、小鯛のささ漬コーナーがあり数社の小鯛のささ漬を販売しています。
小浜に来られない方のために、ささ漬を製造しているお店ではオンラインショップにて販売しているお店もありますので、詳しくは(恊)小浜ささ漬協会HPの加盟店一覧をご覧ください。
また、ふるさと納税サイトでも買うことが出来ますので「ふるさと納税 小鯛のささ漬」で検索してみてください。
ささ漬を造り続けていく状況も年々悪くなり製造をやめてしまうお店もあるそうです。
そんな状況でも、「手作業にこだわり代々受け継がれた味を守り、長年勤めてくれている従業員と一緒に、自慢のささ漬を造り続けていきたい」と語る五代目 上杉亮介さんの想いがひしひしと感じられました。
世界で唯一「若狭おばま」で作られている伝統の味「小鯛のささ漬」をぜひ味わってみてください。