【若狭牛】福井県民がハレの日に食べるブランド牛の新たな魅力を追求!
福井県の黒毛和牛「若狭牛」。さらなる美味しさへの挑戦が今も行われていることをご存知でしょうか?進化し続ける若狭牛をレポートします!
大森 望央 -Mio Omori-
【福井県の観光ガイドレポーター】
生まれ育って今も暮らす福井駅前情報や県内全域の話題のスポットをお届けしています。
福井美食のトップクラス【若狭牛】
日本海側、北陸地方に位置する福井県グルメといえば「越前がに」など海の幸の印象が強いですが、福井県民は、家族や仲間との集まり、会食などにお肉を食べることが多いです!2020年から22年にかけてタウンページデータベースの都道府県別焼き肉・ホルモン店の登録件数と10万人あたりの件数の調査結果によると、福井県は3年連続2位となっています。
福井県には、「ふくいポーク」や「福地鶏」などのご当地お肉がありますが、なかでも「若狭牛(わかさぎゅう)」は昔から県民に愛され続けるブランド牛です。特に坂井市で多く飼育され、県内の飲食店でその味をたのしむことができます。福井県民にとって若狭牛はハレの日のお祝いや特別な時に食べる馴染み深い和牛です。
ブランド牛といえば近江牛、松阪牛、神戸牛などを思い浮かべる方が多いと思いますが、日本には様々な種類のブランド牛が存在し、その銘柄数は200を超えると言われています。ブランド牛の定義はそれぞれ異なるため、「どれが一番美味しい」「どれが最も高品質だ」と一概に評価することは難しいですが、ブランド牛は産地ごとに気候や風土、育て方、飼料が異なるため、食感や風味に独自の違いがあります。
若狭牛は、自然あふれる越前若狭地方の四季折々の気候と豊かな風土の中で一頭一頭大切に育てられています。きめ細やかなサシ(霜降り)と肉の繊維が細かく柔らかな肉質が特徴で、一口食べればとろけるような舌触りと上品な味わいが口いっぱいに広がります。
伝統を受け継ぎながら、新たな挑戦がはじまっている
若狭牛の歴史は明治時代にまでさかのぼり、長い伝統の中で培われた飼育方法が今に受け継がれていますが、もっと福井ならではの方法で美味しさを追求し、福井県が誇る若狭牛を世界中のたくさんの方に食べてほしいと新たな魅力ある挑戦がスタートしています!
取り組みをお伺いしに、福井県食肉事業共同組合連合会 理事長である「肉はナカノ」の株式会社ナカノ 代表取締役 中野直幸さんを訪ねました。
- ふく旅ライター みお
- まずは若狭牛を見学しに、坂井市にある「Nomuraファーム」へとご一緒させていただきました!
福井県のもので育った最高品質「over30」とは?
健康で良質な若狭牛を育むためには、育成環境も重要です。九頭竜川水系が育む坂井平野の水田に囲まれた場所に野村さん親子が営む「Nomuraファーム」があり、若狭牛の中でも主に雌牛を専門に肥育しています。
「肥育(ひいく)」とは、一般的に生後6~12ヶ月程度の「素牛(もとうし)」を購入し、約20~30ヶ月齢まで育て、特に肉質や脂肪の質を高めるための専門プロセスです。その結果、 霜降りが美しい柔らかい牛肉が生まれ、ブランド牛として市場に出荷されることになります。
中野さんは一頭一頭“命有る牛”が健康的にストレスのない環境で育ち、地域ならではの安全な飼料を食べていること、生産者との間に固い絆をつくり生産者の思いを醸成し、消費者の元へ美味しいお肉を“正直に届ける”ことを大切にしています。
その中で生まれたのが、若狭牛のなかでもさらに肥育環境、肥育飼料、肥育期間と熟成にこだわった「over30」という新たなブランドです。
Nomuraファームでは、福井県産の稲わらやお米を飼料として与えています。画像の稲わらは、160ヘクタールもの坂井市内の近隣農地から集めた稲わらを1年寝かせて高品質の飼料にしたものです。稲わらには牛の食欲を増進させる働きもあるそうです。
飼料には、福井県産ブランド米「コシヒカリ」や「あきさかり」などをブレンドしています。
そして!「over30」の特徴が、鯖江市でつくられている「乳酸菌 HS-08株」を子牛の時から出荷する時まで与え続け、牛の健康を自然由来のもので管理しているところ。乳酸菌の働きにより免疫力の高い健康な牛を育て、飼料のバランスや稲わらの品質が肉質や美味しさを引き上げていく効果があるそうです。
多くの牛が出荷されるのは綺麗にサシが入り重量感が増す生後24〜28ヶ月前後で、27〜28ヶ月近くになると食欲が落ちて痩せやすくなりますが、牛を肥育初期からの腹づくりや餌のコントロール、乳酸菌で健康状態を保つことにより30ヶ月を超えるまで元気に育て、旨味の醸成と弾力性の高い味わいに仕上げています。
自然豊かな坂井平野で地元の産物を食べて育ったNomuraファームの牛たちは、とても穏やかな表情で仕草がのびのびしていると私は感じました。乳酸菌の力で腸内環境から体全体の免疫力が高められ、良質な福井県産の飼料と1頭1頭にあわせた野村さんの丁寧な肥育が牛たちの雰囲気にも現れています。
月齢30ヶ月以上の肥育をこちらのファームで行い、Nomuraファームからリレーされ
「over30」は、中野さんと野村さんの福井ブランド牛「若狭牛」の美味しさの魅力を最大限に引き出す高いプロ意識と、若狭牛を時代に応じた方法で大切に継承していこうとする熱い想いと行動の賜物です。
坂井市春江町のショッピングセンター「アル・プラザ アミ」1階にある精肉・惣菜店「肉はナカノ アミ店」では、丹精込めて育てられた上質な若狭牛を取り扱っていて、その確かな品質と美味しさを自宅で堪能できます。さらに、福井県のお隣 滋賀県の近江牛や、ふくいポークの加工品、食卓を彩るバラエティ豊かな惣菜も充実しています。
【肉はナカノ アミ店】
住所|福井県坂井市春江町随応寺16-11 アル・プラザ アミ1階
TEL|0776-51-5990
営業時間|9:30〜20:00
定休日|不定休(アミに準ずる)
SDGsにも繋がっている若狭牛
また、肉はナカノの横では、地元農作物などが販売されています。中には、Nomuraファーム由来の野菜も。
高品質な飼料と乳酸菌を与えられた牛の糞は、極上の堆肥となり、農作物が本来持つ力を引き出す生命力豊かな土壌を育みます。この堆肥は農場から近隣の農地へ還元され、健康で安全な農作物を育てる堆肥として活用されています。そして、その農作物は稲わらや飼料米として再び農場に戻ってくるという、循環型の持続可能な農業の実現にも貢献しています。
【アミ市ナカノ】
住所|福井県坂井市春江町随応寺16-11 アル・プラザ アミ1階
TEL|0776-51-5990
営業時間|9:30〜20:00
定休日|不定休(アミに準ずる)
- ふく旅ライター みお
- 若狭牛がSDGsにも繋がっているとは新発見です!
この取り組みで株式会社ナカノは、「ふくいSDGsパートナー」企業に登録されています。
福井駅前で「over30」が食べられる
そんな「over30」が食べられるお店が福井駅西口から歩いて2分のところにある「福井駅前フードホール MINIE(ミニエ)」にあります。「肉はナカノ MINIE店」は、パブスタイルで気軽に若狭牛、ふくいポークなど地元食材を使用した料理がたのしめるお肉屋さんです。
冬の若狭牛料理といえば、すき焼き!こちらのお店では、お肉は松(霜降りor赤身 3,850円)・竹(切り落とし 2,750円)・梅(こま切れ 1,980円)から選ぶことができます。
この日は季節の野菜に大野市産「九頭竜まいたけ」が入っていました。わりしたは、天然羅臼昆布と大野市にある野村醤油の「青豆醤油」で仕上げられています。
せっかくなので奮発して「松」をいただきました。きめ細やかなサシが入った大ぶりな霜降り肉の若狭牛は、上品なジューシーさで美味しさ格別!一口食べると天にも昇る心地です!
次に若狭牛ステーキもいただきました。こちらも松(3,850円)・竹(2,750円)・梅(1,980円)から選べますが、松竹梅の違いは部位(赤身、ロースなど)なのでどれを選んでもその部位の上質なお肉を食べることができます。
福井市越前海岸の志野屋製塩所「百笑の塩」、坂井市三国産のベビーリーフ、ジャガイモは北海道ニセコ産のものを若狭牛の脂で素揚げしているそうです。全ての食材がこだわり抜かれています。
私がこの日選んだ「竹」は、 1頭から少量しか取れない希少部位「イチボ(お尻のお肉の中で、外ももにつながる部位)」でした。 赤身の旨味と脂身の甘さがバランスよく、お肉の味わいが濃く美味!付け合わせも素材の味わいがしっかりしていて、お肉と食べると美味しさの相乗効果が高まってあっという間に一皿ぺろりでした!
他にもこちらのお店では若狭牛の焼肉やハンバーグなども食べることができます。
【肉はナカノ MINIE店】
住所|福井県福井市中央1-3-5 FUKUMACHI BLOCK 1F MINIE ローカルフードホールエリア
TEL|0776-30-1129
営業時間|11:00〜14:30(L.O 14:00)、17:00〜23:00(フードL.O 22:00/ドリンクL.O 22:30)※ドリンク、揚げ物などのコーナー 11:00〜22:00
定休日|月曜日(振替定休日 木曜日)
持ち帰り用のお肉の販売も行っており、ご自宅で若狭牛の美味しさを楽しむこともできます。福井の味をお土産として大切な方に届けるのにも最適です。また、揚げ物やお惣菜のテイクアウトも行っています。
本場 福井県で若狭牛を味わう旅を
福井県の恵まれた自然風土の中で生産者によって丹精込めて大切に育てられ、熟成によって肉の美味しさを最大限に引き出された若狭牛は、ジューシーで柔らかい肉質と上品な味わいで多くの人々を魅了する特別な逸品です。
- ふく旅ライター みお
- ぜひ、若狭牛を味わいに福井県へお越しくださいね!