ふく旅

サバ缶!ではなく「フナ缶」!?三方五湖産の絶品缶詰に迫る

今回ご紹介するのは、三方五湖産の『寒ぶな缶』です。なんと2024年のグッドデザイン賞を受賞!
美味しいだけでなく、湖とともに生きる人たちの想いが詰まった缶詰をご紹介します。

サバ缶!ではなく「フナ缶」!?三方五湖産の絶品缶詰に迫る

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三方五湖のフナを使った「寒ぶな缶」

魚の缶詰と聞いてまず思い浮かぶのは、「サバ缶」「ツナ缶」ではないでしょうか。

もちろん上記の缶詰も美味しいのですが、福井県へお越しの際にぜひ召し上がっていただきたいのが、「寒ぶな缶」です!「寒ぶな缶」に使われているのは、若狭町の三方五湖で400年以上続く伝統漁法「たたき網漁」で穫れたフナです。

たたき網漁とは

たたき網漁とは、水温が低くなり、動きが鈍くなっている魚を驚かせ、網に追い込む漁法です。長さ3~4mの竹を勢いよく振り下ろして、湖面を叩きつけます。「バシン!」と湖に響く音が地元では冬の訪れを告げる音です。


また、たたき網漁以外にも「うなぎの筒漁や」「柴漬け漁」など、三方五湖では今も江戸時代と変わらぬ手法で漁を続けています。伝統を守ること以外にも、小さな個体を傷つけず逃がすことができ、大量の漁獲が困難な手法であるため、湖の資源を次世代へ繋いでいくことができます。

「湖を次世代へ」地域の想い

三方湖周辺では古くから湖の資源に支えられて、人々が暮らしてきました。

しかし近年、水質の悪化、湖魚食文化の衰退、漁師さんの高齢化、湖と人の関わる機会の減少など多くの問題を抱えています。


問題解決への第一歩として、三方五湖を、そして湖の美味しい魚をもっと多くの人に知ってもらおうと、福井県里山里海湖研究所の樋口研究員が湖の資源を活用した商品開発を提案しました。若狭高校の学生、鳥浜漁業組合、一般社団法人SwitchSwitchに協力を仰ぎ、商品開発が始まりました。


そして誕生したのが、「寒ぶな缶」です。たたき網漁の漁期は12月〜3月の冬季のみのため、観光シーズンの春から秋に旅行者に食べてもらうことができませんでした。

長期保存が可能な缶詰なら1年中美味しくフナを食べてもらえます。また、開発チームの一員である若狭高校が「宇宙缶詰」を開発した実績があることも缶詰に決まった理由の一つです。

宇宙缶詰の経験を生かして

宇宙缶詰とは、若狭高校の生徒が開発した宇宙で食べることができる「さば缶」です!

JAXAから高校生として初めて認められた「宇宙日本食」で、実際に宇宙へ届けられました。


若狭高校には全国でも珍しい海洋科学科があり、環境・漁業・食品・バイオテクノロジー・経済など幅広い分野を学習します。授業の一環として、サバを使用した宇宙缶詰の開発が始まり、先輩から後輩へ受け継ぎ、13年の月日を経て宇宙に缶詰を届けました。その経験が「寒ぶな缶」完成にも大きく役立つことになります。

1年以上の試行錯誤、そしてついに、、

開発メンバーで三方五湖の湖フナを試食後、商品作りに着手しました。味付けは鳥浜漁協組合長の田辺氏が醤油味の煮付けを提案。ここから三方湖の魅力を伝えるための試行錯誤が続きます。


調味料の配合を細かく変えた30種類以上の試作品を作り、8回もの試食会を重ねたそうです。味付けが決まると地元で缶詰など加工食品を製造する福井缶詰に製造を依頼しました。そして材料となるフナは漁師さんたちの協力で必要数の530匹を調達することができました。フナは1匹あたりの可食部が少ないため、これだけ大量のフナが必要になったそうです。このように、開発メンバー以外にも多くの人の協力があり、1年以上の時間をかけて完成までたどり着きました。


完成した「寒ぶな缶」は甘めの味付けで、箸でほどけるほろほろとした食感と、手作業で入れたフナ卵のつぶつぶとした2つの食感が楽しめます。開発メンバーであり、地元の漁師さん田辺氏も「地元で食べられる味にとても近い。ごはんにもお酒にも合う」と太鼓判を押しました。

2024年グッドデザイン賞受賞!

そしてなんと今年2024年、グッドデザイン賞を受賞されました!大きく評価されたのは、三方五湖の持続可能性を考えられている点です。


缶詰の製造により、たくさんの人に湖の魚を食べてもらい湖魚食文化を広げる。多くの人が湖に関心を持つことで自然環境を考えるきっかけになる。また、売上の一部は湖の自然再生活動に充てられるため、「寒ぶな缶」を食べることは湖の自然再生活動に参加していることになる。漁師さんがフナを穫れば売れる仕組みを作り、漁に出る機会と売上を増やす。それを見て伝統漁法に興味を持つ若手を育てる。そして伝統漁法を次世代につなぐ。


上記のように、三方五湖の自然環境と伝統漁法、2つの持続可能性を向上させることができるグッドな仕組みが今回の受賞につながりました。

若狭町、または発送での購入も可能です!

若狭町で購入できる店舗は、

販売主である一般社団法人SwitchSwitch事務所(三方上中郡若狭町鳥浜123−9−2)

道の駅三方五湖(三方上中郡若狭町鳥浜122−31−1)

とれたんこキャンプ場(道の駅三方五湖併設)

cafe縞(三方上中郡若狭町鳥浜122−12−1 縄文ロマンパーク内)

鳥浜漁業協同組合(三方上中郡若狭町鳥浜55−15)


いずれ店舗も地図に記載の観光スポットすぐ近くにあります!


発送でのご購入希望の方は、リンクの一般社団法人SwitchSwitchへ連絡すると対応してくれるそうです!


また、三方五湖周辺にはおすすめスポットがたくさんあります。

360度絶景が広がる「三方五湖レインボーライン」、湖の底に眠る年縞を通じて地球の歴史を感じる「福井県年縞博物館」、湖とともに生きた縄文人の暮らしがわかる「若狭三方縄文博物館」、その他にも見どころ満載の若狭町へ是非遊びに行ってみてください!

筆者も実際に食べてみました!

筆者も実際に「寒ぶな缶」を食べてみました!

臭みはまったくなく、肉厚なフナが甘辛く煮られており、上品なのにどこか懐かしい絶品の缶詰でした。

実は、「寒ぶな缶」をおかずにご飯を2杯食べました(笑)

挑戦は続く

たたき網漁ではフナ以外にコイも獲ります。

コイも「寒ぶな缶」のように多くの人に食べてほしいという想いから、「寒ぶな缶」の開発チームで、現在「鯉のへしこ」を開発中だそうです。

今月は初の試食会が予定されており、どんな商品になるのかとても楽しみです!

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