「ふくチャリ」で行く!春の足羽山公園めぐり
標高116.8m、四季折々の植物やハピジャン(動物園)やカフェなど見どころも多い、福井市民の憩いの足羽山公園。今回は、電動アシスト自転車「ふくチャリ」で穴場スポットを中心に巡ってみたいと思います。
桜子
福井でみつけた美味しいもの、きれいなもの、四季の移り変わりの楽しみなどを発信します。
好きなこと/温泉めぐり、花、和楽器の演奏/
1.福井市民いこいの「足羽山公園」とは
JR福井駅から徒歩25分、標高116.4mの足羽山。福井の礎を築いた継体天皇像や動物園(ハピジャン)や愛宕坂にある橘曙覧記念文学館、愛宕坂茶道美術館や自然史博物館などのほかに、カフェや茶屋もあり、桜やアジサイや紅葉など、四季折々の植物も楽しめるエリアです。
2.電動アシスト自転車「ふくチャリ」スマホアプリで簡単!街をスイスイ
お天気が良いときは、「ふくチャリ」でお散歩してみませんか。「ふくチャリ」は、福井市内のサイクルポートに設置された電動アシスト自転車のシェアリングサービスです。必要なのは、スマホとクレジットカード。スマホアプリで簡単に利用できます。ふくチャリの公式サイトに、借り方や返し方、使い方や返却や借りれるポートの情報が詳しく載っています。1回会員(最初の30分110円。一日パスあり)と、月額会員(1650円)があって、料金はクレジットカードやキャリア決済(ドコモ払い)で精算になります。
わたしは、福井駅のなかの福井市観光交流センター1階の「ふくい観光案内所」の奥にあるポートで借りました。これから「ふくチャリ」で、福井駅から1.5kmほどにある足羽山のふもとにある愛宕坂(あたござか)に向かおうと思います。
(電動自転車なので、急な勾配での走行は充分にお気をつけください)
3.145段の笏谷石の階段の「愛宕坂」しあわせ福井の原型?独樂吟の曙覧記念文学館
全長165m、145段の愛宕坂(あたござか)と呼ばれる足羽山への登山道のひとつに着きました。江戸時代後期に呉服商が寄付を募り、笏谷石の階段を完成させたそうです。かつては料亭や茶屋が立ち並んでいたという面影を残す坂道です。春の桜の時期には、期間限定で「灯の回廊」を開催しています。
自転車の場合は、坂の昇り口奥にあるエレベーターに乗り込み、福井市橘曙覧(たちばなのあけみ)記念文学館と、その真向かいにある福井市愛宕坂茶道美術館まで行くことができます。敷地内の茶室の「尚庵」のお庭は、なかなか素敵ですよ。
福井市橘曙覧記念文学館は、幕末の歌人で国学者であった橘曙覧が住んでいた「黄金舎(こがねのや)」跡に、2000年に開館しました。橘曙覧といえば、「たのしみは」から始まって「・・・とき」で終わる52首の連作の和歌「独楽吟」(どくらくぎん)が有名です。まるで、独楽(こま)を回しながら遊ぶように日常の楽しみを読み込んだ52首は、館内の常設展で観ることができますよ。
「たのしみは~」から始まる独樂吟。日々のささやかな楽しみや良いところを見つけて和歌にするなんて、ウエルビーイングっぽいというか、まさに「幸福度ナンバーワン」の「しあわせ福井」の原型みたいだなあと思いました。
橘曙覧にあやかった「令和独樂吟」短歌コンクールも毎年開催されています。「たのしみは」で始まり、「~とき」で終わる独樂吟部門、気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
4.継体天皇をお祀りする1500年の歴史を誇る足羽神社へ
文学館の先は足羽山にたどりつくまで、階段しかありません。徒歩で行くのならそのまま上っていくのですが、自転車なので、エレベーターでまた下までいったん降りて、毛谷黒龍神社北側の、足羽山トンネル近くの、花屋「花樂」と、旅館「河甚」の看板の間の道から昇っていくのがおすすめです。自動車の場合も同様です。
(帰り道は「足羽山ATARASHIYAあたらしや」横の坂から戻れますが、かなり下り坂の勾配が急なので、スピードを出しすぎないように、走行にはお気をつけください)
当初、愛宕坂の階段がそこまでたくさんあるとは知らず、私はうっかりそのまま自転車をかついで階段を昇ってしまいました。電動自転車はかなり重く、全くオススメしません。(途中で親切な方が現れて、自転車を山の上まで運んでくださいました。神すぎる!)
さて、そうこうして足羽神社に着きました。
5.福井のルーツを創られた!継体天皇のお話
足羽神社は、創立1500余年、継体天皇をお祀りした神社です。聖徳太子の叔母の推古天皇の祖父でもある継体天皇の即位までのエピソードは、日本書紀に載っているそうです。継体天皇という方の伝説やエピソードは枚挙にいとまがなく、全知全能で福井県の礎を創ってこられた方なのです。
足羽神社の休憩所でも映像で継体天皇のストーリーが拝見できますが、どんな方だったのか、プチ披露。
継体天皇は滋賀県にお生まれになりました。お母様の振媛(フリヒメ)様は、福井県の豪族の娘で、推古天皇と並ぶ絶世の美女だったそうです。夫が若くして亡くなり、振媛様は故郷の福井に帰ってオホド(当時の名前)、後の継体天皇を育てたそうです。
継体天皇は交易に力を入れ、九頭竜川の河口の三國に港を開きました。当時は沼地同然だった福井の治水工事を行ったり、足羽山ではかつて福井を象徴とする石「笏谷石」がとれたので、柔らかく加工しやすい笏谷石の採掘を奨励したこと。鯖江市の河田に訪れた際に冠を落とし、修理を河和田の漆塗師に命じたところ、見事に仕上げ、献上された黒塗りのお椀の出来栄えに感動して、河和田に漆器づくりを奨励され、越前漆器の始まりにかかわっていらっしゃったという史実に基づいたお話があります。
継体天皇にまつわるお話は太古のロマンがあり、北前船や笏谷石、福井の基になる伝統工芸も、いっきに結びついてきました。足羽山の中腹には、笏谷石で作られた大きな継体天皇の像もありますよ。
6.樹齢380年の足羽神社のしだれ桜のパワーに感動!
足羽神社の真ん中に、市の天然記念物第2号でもある、樹齢380年になる見事な「シダレザクラ」があります。
しだれ桜について、足羽神社の角鹿さんにお話を伺わせていただきました。誰が植えたかはわからないそうですが、神殿の前にあるということで、見事な桜を神様に見てもらいたいと思ったことがきっかけだろうということや、過去に空襲や大震災、また大雪などで枝折れしたこともあるそうですが、桜の咲かない年はなかったそうです。蟹の甲羅を細かくくだいて深く掘って肥料にしたりして、日々、手厚くたいせつに守っていらっしゃっているそうです。
また足羽神社には樹齢430年というしだれ桜より前の時代からの市の天然記念物第1号の「タカオモミジ」もあります。
市の天然記念物の第1号第2号がある由緒ある足羽神社の境内で、風雪や大火や震災に耐えて生き残り、毎年毎年
花を咲かせてくれる・・。樹木の生命力に勇気と感動とパワーをいただけます。
7.福井市民に愛されてきた「木の芽田楽」!明治22年創業「足羽山ATARASHIYAあたらしや」
足羽神社の並びにある「足羽山ATARASHIYAあたらしや」は、明治22年創業。
2021年3月に北欧風に改装しました。「福井の味」の看板メニュー「木の芽でんがく」(6本650円税込)は、もちもちの絹ごしのように柔らかなお豆腐が、代々受け継がれてきた甘味噌にからみ、優しく、ほっとする味です。好きな場所で「でんがく」を楽しめるテイクアウトも人気です。
「こんにゃくは、足羽麩市(ふいち)産のこんにゃくを使って、辛子味噌も福井特産の地辛がらしを使っています。お豆腐も、風味が良く甘味曾がよく絡むように、いろいろ取り寄せた結果、上森田のトーフ庵のものを使わせていただいています」と、女将の新谷(しんたに)さん。新バージョンの「くるみ味噌でんがく」「2本400円税込)や、ラクレットチーズでんがく(2本500円税込)、福井のソウルフードである「にしん」の旨味とおだしが絶妙にマッチした「にしんそば」「1200円税込)も好評です。
女将おすすめの「足羽山ATARASHIYAあたらしや」のお土産、「KIRAZU(きらず)あげ」(150円税込)は、ビールのおつまみやお茶うけにも。お豆腐を作るときに出る「おから」を使ったポリポリした食感がくせになる揚げ菓子です。
緑に包まれたウッドデッキや小上がりの畳のお部屋や暖炉、マリメッコのファブリックなど、店内はモダンで温かみのあるくつろげる雰囲気。福井駅前のMINIE(ミニエ)にも新店ができ、ランチやディナーやでんがくのお弁当、カフエタイムも楽しめますよ。
8.足羽山の自家製工場で作る!チョコレート専門店「山奥チョコレート日和」
「足羽山ATARASHIYAあたらしや」を出て、ふくチャリを足羽山動物園「ハピジャン」方面に走らせました。10分ほど走ると、和菓子の老舗「森八大名閣」が手がけたチョコレート茶屋「山奥チョコレート日和」に着きました。
マネージャーの井上さんにお話を伺えました。
元お蕎麦屋さんだったという店舗をリノベーションしたお店は、和モダンで落ち着いた素敵な内装。テラス席もあって、足羽山の自然を感じながら、季節の生パンケーキやドリンクなどのカフェメニューも楽しめます。
杏仁のようなフレーバーのガーナ産や、華やかな酸味のマダガスカル産など、産地別の5種類のこだわりのカカオ豆を、足羽山のお店に併設された自社工場でチョコレートに製造しています。
お土産用のチョコも充実。特に人気は「生チョコサンド」(357円税込)は、ガーナ産のガナッシュ生チョコで包み、さくさくクッキーでサンドしています。本格チョコのなめらかな口どけに、ぶ厚いガナッシュが食べごたえ充分。上品で、カカオの味も濃く絶品です。おしゃれな個包装になっているので、ちょっとしたお礼やお土産にも最適ですよ。
9.返すときもカンタン!ふくチャリ旅の感想
足羽山をおりて「ふくチャリ」を、「福井市観光交流センター」内のサイクルポートに返却に行きました。(返却は、最寄りのサイクルポートでも可能です)
返却後、登録メールに料金のお知らせが届き、だいたい3時間使って660円でした。
電動だから体への負担も少なく、手軽に好きなように巡ることができるのも大きな魅力でした。お店どうしが離れていても、ふくチャリならラクラクです。
風や光、鳥の声など、自然をダイレクトに感じられて、とても気持ちが良かったです。
一日じゅう時間を気にせずに使える「1日パス」(福井市観光交流センターやウエルカムセンターで購入の場合1650円/コンビニ・Webサイトで購入の場合1430円)や、毎日利用できる「月額会員/1650円」もあります。お得に安全に使って、福井のあちこちを、日常の暮らしのように巡ってみてはいかがでしょうか。