【永平寺 親禅の宿 柏樹関】名刹・永平寺への参拝は宿泊がおすすめ!
永平寺の敷地内にある、宿坊のような高級旅館「永平寺 親禅の宿 柏樹関(はくじゅかん)」に宿泊して、繊細で美味しい精進料理や、大本山永平寺での本格坐禅体験、修行僧との朝のおつとめに参加して、禅の心に触れてみませんか。きっと、心身ともにリセットできる時間が持てるはず。ふく旅ライターが宿泊した様子をレポートします!
桜子
福井でみつけた美味しいもの、きれいなもの、四季の移り変わりの楽しみなどを発信します。
好きなこと/温泉めぐり、花、和楽器の演奏/
1.心が洗われる!自分をみつめるマインドフルネス坐禅体験。
忙しくあわただしい毎日。煩悩と日々のタスクに追われる「ふく旅ライター」桜子です。
たまには日常を離れ、心のざわめきを取り払ってみたい。鳥のさえずり、虫の声、きれいな空気に癒されながら、五感をとぎすませて。
今、坐禅が静かなブーム。マインドフルネスという、過去や未来にとらわれず、心を今に向けて、ありのままでいる心の境地。坐禅で頭のなかが明晰にすっきり、心の安定と強さにも効果があるそうです。
2.格式高い永平寺の坐禅体験や、早朝の朝課(おつとめ)が体験できる!泊まる価値ある「親禅の宿 柏樹関」
マインドフルネスといえば、かのステイーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、イチローも行っており、とくに、ジョブズは福井県にある禅寺として日本最高峰である大本山永平寺とのご縁も深く、出家しての修行も真剣に考えたというエピソードもあるそうです。
曹洞宗の開祖・道元禅師によって1244年に、福井の老杉の生い茂る山中に開創された曹洞宗の名刹、大本山永平寺は曹洞宗の道場で、770年にわたって全国から修行僧の方々が集まり、道元禅師の規範に基づいて厳しい修行生活を送っていらっしゃいます。
そして永平寺の10万坪という広大な敷地内の一角に、2019年、高級旅館の快適さと宿坊体験のできる宿「永平寺 親禅の宿 柏樹関」が開館しました。永平寺周辺をお庭のように朝夕お散歩できる最高の環境のなか、露天風呂や日本建築の趣を感じる客室、手のこんだ至福の精進料理、そして、格式高い永平寺での座禅体験や早朝の朝課など、本物の禅を、宿泊者得典で無料で体験できる宿なのです!!
今回は「柏樹関」の宿泊での、大本山永平寺の参拝体験レポートをご紹介したいと思います。
アクセスは福井駅から直通の京福バス永平寺ライナーが便利です。永平寺ライナーは福井駅の東口に乗り場があり、日中のみ1時間に1本、現在は1日6往復の運行をしています。終点の永平寺口で降り参道を歩き永平寺川にかかる橋を渡ると、今日の宿「永平寺 親禅の宿 柏樹関」の瀟洒な建物がみえてきます。
扉をあけると光沢のある渋い金色の大きな魚。「これは、魚鼓(ほう)といわれ、永平寺で実際に使われていたものなんです」と、お話くださるのは、営業担当支配人の中尾さんです。現在も食事の準備の整った合図に魚鼓が使われており、「僧堂」に吊るされているそうです。
フロントの天井を支える立派な梁の木材も、永平寺の敷地内で風などで倒れたり伐採したスギやヒノキを活用したものだそうで、凛とした空気感が溢れるロビーには、永平寺の間伐材の杉の木から作られたお香も焚かれています。入り口から右手にはすがすがしい畳敷きの「開也の間」があり、滞在中は自由にここで庭園を見ながら心を落ち着かせたり、坐禅や写経体験ができます。
3.いよいよ、憧れの永平寺で坐禅体験
チェックイン後、坐禅体験の時間まで部屋で休み、15時10分にエントランスに集合しました。永平寺認定の禅コンシェルジュの案内で宿を出て永平寺川沿いに歩いていくと、ほどなくして永平寺に到着しました。(今回は撮影許可の申請書を出して館内の撮影許可をいただきました。原則、修行僧の撮影は禁止されています。)
坐禅用にひとりひとりクッションを貸していただけます。とても座り心地が良く、腰の下にあてると背筋もすっと伸ばしやすくなります。はじめに雲水さんから坐禅のいろはについて、丁寧でわかりやすい説明がありました。挨拶、足の組み方、手の組み方、上体の姿勢、視線の位置など。ゆったり、のびのびと心を開くための身体の型、ととのえ方を初心者にもなじみやすく教えてくれました。
あぐらの難しい人は、椅子に座ったままで坐禅に参加することもできます。最近すっかり身体が固くなってしまいましたが、雲水さんに教えていただきながら坐禅用クッションの位置を調節して、右ひざや左ひざの位置、背骨の積み上げ方を意識してみました。ここまでの体勢ができたら、「左右揺振」(さゆうようしん)というそうなのですが、ゆらゆらと上体を左右に振り子のように揺らし、徐々に、自分の身体のちょうど良いところでバランスをとって静止します。呼吸の仕方も教わり、鐘が鳴り、静かに坐禅の時間が始まりました。
雲水さんから坐禅の説明をお聴きするなかで心に残る言葉がありました。「息という字は、自分の心と書きますが、息を整えるということは、心を整えるということ」という言葉です。
無理に雑念を払って心を集中させようとするのではなく、息を整えることによって自然と心が静かになってくるという言葉は坐禅についての気負いがなくなりました。永平寺に来る前は、もしかして少しでも体を動かすと棒で喝を入れられるのかしら・・と内心、心配でしたが、全くそのようなことはなく、自分の呼吸を意識して音のない時間や境地に身をゆだねるような体験ができました。それはまさにわたしの求めていた「自分に向き合う」ことのできる貴重な体験でした。
4.大本山永平寺 前典座「三好老師」監修の滋味豊かで美しい精進料理
坐禅や読経と同じように、日々の修行として食を大切にしている永平寺。その永平寺のお台所である「大庫院」で食を司る、典座(てんぞ)の御老師の教えのもと、大平料理長が宿泊客が親しめるように工夫をされた、心づくしの精進料理が味わえます。
出汁もカツオなどではなく、野菜や昆布を使われているそうです。お肉やお魚のある和食懐石料理や国産牛のしゃぶしゃぶのコースも選べますが、せっかくなので純粋な精進料理の「特選精進料理」をお願いしました。
料亭の懐石料理のように美しい盛り付け!福井産の打ち豆や九頭竜の名産のマイタケなど、福井の四季折々の旬の野菜や塩を使ったお料理は、野菜の旨味が味わい深く引き出されていて、とても美味しいです。「御造り」も、湯葉や柚子こんにゃく、アボガドや海藻麺などでつくられた繊細な味わいです。小鍋で炊きたての、つやつやの福井産の「いちほまれ」、野菜のてまり寿司もありボリュームもいっぱい。おなかがいっぱいになりました。器も越前焼など見た目もたのしみながら、日本料理の真髄を味わえます。
飲み物はノンアルコールのほか、若狭の希少種「紅映馬」の品種の梅酒やビール、焼酎、福井県の日本酒の銘酒「花垣」など五種の飲み比べもあります。
5.福井県の伝統工芸に見守られ心地よく眠れる客室
18室限定の客室も、陰影礼賛の心にのっとって、日本の伝統美を福井産の調度品で表現されています。たとえば、灯りや壁紙には越前和紙、洗面ボウルや急須、湯飲みも越前焼です。同じ越前焼や越前和紙でも、色やテイストの違いを楽しめます。また、ティッシュケースや、屑入れも県産木材が使われています。
そんな本物の伝統工芸に囲まれた空間に、県産木材で作った柏樹関オリジナルのスマホ用スピーカースタンドがあったり、アレクサがあったり、便利で面白い工夫もあります。アレクサに早速、明日は早朝3時半に起こしてね!と予約しました。なんと、明日は4時から大本山永平寺での朝のおつとめに参加できるのです。もうそろそろ、おやすみなさい。。。
6.圧巻!!大本山永平寺で雲水さんと朝課(朝のおつとめ)体験
柏樹関では、大本山永平寺で毎朝行われている朝のおつとめに宿泊者も希望すれば参加できます。早朝4時にエントランスに集合。まだ暗い永平寺に続く川沿いの道を歩きます。永平寺に入りまず1階の「吉祥閣」に集まり、この日は参務(さんむ)の方の法話をうかがわせていただきました。
お釈迦様をご本尊に、曹洞宗の開祖の道元禅師を父に、4代目の瑩山禅師を母に一仏両祖として仰いでいるお話、瑩山禅師は福井県出身であること、たまたま北陸新幹線の福井・敦賀開業の前日ということもあって、福井県の地理のお話から、嶺北と嶺南をつなぐ「木の芽峠」付近に道元禅師が京都に向かう途中にこの峠に立って永平寺を思いながら詠んだ歌の石碑があるお話なども伺えました。
堅苦しいものではなく、楽しく福井県のことや永平寺のことを教えていただき、あっというまに時間がたちました。
吉祥閣を出て、永平寺の頂上にある「法堂」(はっとう)に向かいます。永平寺の七堂伽藍(しちどうがらん)は人のからだの配置になっているそうで、「法堂」は、長い階段を昇り切った最も高いところに位置する永平寺で最も大きな建築物です。約420畳敷きもあり、法要や朝課に使われています。
外はまだ暗く、廊下に出るとひんやりとした空気に包まれるなか、ぴかぴかに雲水さんが毎日磨いている階段や廊下を通って「法堂」に無言で足を運びます。
まるで山登りのような感じです。夜明け前に永平寺の中を歩けるなんて、なかなか貴重な体験ができるのも柏樹関での宿泊ならではだと思いました。
法堂にたどりつきました。中央の巨大な須弥壇(しゅみだん)や、天井の金色の天蓋、おごそかな雰囲気です。開け放された入り口から外気が入ってくるのと暖房はつけていないので、一般の参拝者はコートを着込んだまま、手前の椅子に座りました。
鐘の音が聞こえ、僧侶や雲水の方が続々と楚々と入ってこられました。何人くらいいらっしゃったのか正確にはわかりません。でも広い法堂の中が雲水さんでいっぱいになり、ほどなくして、よどみのない美しい作法や動きが始まり、静かな迫力に息をのみました。
読経がはじまり、わたしたちも先ほどいただいた経本を手に唱和します。係の雲水さんが読経のタイミングを教えてくださいます。大勢の読経の声が美しいバイブレーションとなって法堂に響きます。声の響きや波動に癒されました。最後にコートを脱ぎ、ひとりひとりお焼香とお参りをさせていただきました。
朝のおつとめが終わりました。日がのぼり、鳥のさえずりが聞こえています。
境内の最上部にいるので、素晴らしい朝の眺めをご褒美に見ることができました。雲水さんがそのあと、境内全体を案内してくださいました。144名の日本画家の描いた230枚の花鳥図のある傘松閣では、見つけると願いのかなう動物の描かれた5つの天井絵(青と白の唐獅子・白い鯉・黒い鯉)のお話などを解説していただけたり、修行僧が入門するときに徹る出家の玄関である「山門」や、巨大なすりこぎの吊り下げられている永平寺のお台所の「大庫院」などを、案内していただけました。
その後、尼僧さんから、永平寺で鐘をつける場所を教えていただいたので、行ってみることにしました。
鐘をつく体験は、はじめてですが音の響きや振動、とても気持ちが良いですね。
7.朝湯で心と身体をほぐす
朝のおつとめに参加し、達成感を感じました。宿に戻って、すぐに朝食でも良かったのですが、お風呂に入って身体を温めることにしました。
大本山永平寺で、神聖な行持をお勤めする際に「香湯沐浴」をすることにのっとって、同じ成分・分量で、菖蒲の根や白檀(びゃくだん)など約10種類の薬草が配合された香木湯を楽しめるのです。身体も心もほっと温まり、リラックスできる落ち着いた香りに、心と身体がゆっくりとほぐれていきました。
8.つやつやの炊き立てのお粥に感激の朝食
たくさんの品数の朝ごはんをいただけますが、福井県産米「いちほまれ」の、つやつやのお粥は朝のおつとめのあと、とりわけ身にしみました。短い時間のなかでも、この二日間で心身がデトックスできているのか、いろいろ余分なものがそぎおとされたような感覚に。シンプルな白いおかゆが、本当に美味しかったです。
9.柏樹関限定!充実の上質なお土産の数々
フロントの向かい側に、お土産コーナーがあります。柏樹関オリジナルのお土産がことのほか充実、全体的に上質で手の届くお値段のお土産がたくさんあります。オリジナル木製スマホスピーカーフォン、お菓子やお香をはじめ永平寺御用達の名店・奥井海生堂の商品である昆布も購入できます。
柏樹関オリジナルお土産のなかでも、私のおすすめは、
1・越前和紙で作っためずらしい「魚鼓」(ほう)の張り子
2・香湯沐浴の入浴剤
3・永平寺の杉のの間伐材と香料を重宝した「老杉香」です。
自分のために大好きな桜の雑貨(ポーチとストラップ)も購入しました。
10.旅を終えて
法話のなかで心に残ったことが「行として、毎日履物を揃える。人のも揃える。足元を揃えると心も揃う。」といった内容のお話でした。
永平寺で教わったことや体験で感じたことを大切に、また明日からも頑張りたいですね。永平寺を参拝されるなら、とても快適に過ごせる柏樹関に宿泊されて宿泊者ならではの心をとぎすます贅沢な時間を、ぜひおすすめしたいです。