全国でも珍しい現存天守の丸岡城!石瓦って何ですか?
福井の史跡巡りといえば、まず思いつくのがお城!
県内に数多ある城址の中に、全国で12しかない現存天守が福井にあります。
それが坂井市にある丸岡城です。
今回は丸岡城とその周辺を散策してみました。
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加治 まや
歴史旅が大好きな福井県地域おこし協力隊。福井県内の史跡や歴史イベントのレポートをお送りします
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丸岡城は丘の上に建つ平山城
時は戦国時代。織田信長は一向一揆に勝利した恩賞として、柴田勝家に越前のほとんどを与え北庄に築城を命じました。
越前の支配を任された柴田勝家は養子で甥の勝豊を丸岡からほど近い豊原へ派遣します。勝豊は派遣された翌年、現在城がある場所に丸岡城を建てたのが始まりと言われています。
お天守前公園に着くと、丸岡城の全体がよく見えました!
丘の上に立つこの形は平山城というジャンルに分類されます。平らな地に建てられた平城より、戦のための城!という感じがしていいですね。
天守は江戸時代に建てられたと推定されていますが、石垣が積まれ天守台は関ヶ原の戦い以前に築造されたと考えられているそうです。
チケットには丸岡名産のアレがついてくる!
早速、お城に登城してみましょう。
チケットは450円。重要文化財に入るのにそんなに安くていいんでしょうか?
購入したチケットにはなんと織ネームがついていました。
織ネームとは衣類やバッグなどに縫い付けられている、ブランド名やロゴを織り込んだ布製のタグのこと。実は丸岡町は日本一の織ネーム産地なのです。
歴史と名産の組み合わせ、とても素敵ですね。
整備された階段を登って行くとそこには…
現存十二天守のひとつ、丸岡城の天守が!
早速中に入ってみましょう〜。
現存天守で当時の感覚を体感しよう
近くで見ると天守台の石垣が意外と高い!
石垣の中に転用石(元々他の用途で使われていたもの)っぽいものも発見!墓石?何に使われていたのかなぁ?想像が膨らみますね。
入口をくぐると目の前に急な階段が。意外と中は広々としています。
とりあえず1階をぐるっと一周してみましょう。
まず目に入ったのが石落としと呼ばれる、襲撃してきた敵に石を落としたり弓を射ったりする出っ張った部分。天守というのは基本的に戦になった時に立て籠もることが前提の建物なのでこのような防衛機能が至る所に見られますよ。
次に目に入ったのは「狭間(さま)」と呼ばれる、鉄砲などを的に向けて撃つ穴。
コンクリートで建てられた復元天守ではなかなかお目にかかれない、現存天守ならではの面白さです。
丸岡城下の再現ジオラマも展示してありました!
上の階に登る前にこちらを見て今の風景と比較するのも楽しそうですね!!
階段は足元要注意!
次は天守の二階に上がってみましょう!
エレベーターなんてあるはずのない江戸時代の建物、上がるのはもちろん階段です。
あれ…?階段になぜかロープがついてる…何故だろう?
実は正面から見るとそうは見えないのですが、横から見ると90度間近!の急勾配になっているのです。
思わず「ヨイショ」と声が出てしまいます。一段一段も距離があるので女性はスカートで行かない方がいいかも。現代よりも平均身長がだいぶ低かった江戸時代、私たちよりも更に大変だったんじゃないかな…
2階は1階よりも天井が低めで中階のような感じ。大きくうねった梁が間近に見られますよ。
ここからの景色は邪魔な建物がなくて窓が額縁みたい!写り込んだ懸魚もいい雰囲気を醸し出してるなぁ。
そしてこちらが丸岡城一番の特徴である石瓦!
通常、お城の屋根は焼き物である瓦を使っていますが、丸岡城の屋根は石を一枚一枚彫刻して置いています。その数なんと約6000枚!その2割ほどが福井でしか取れない笏谷なんだとか。2階からは青みがかった美しい石瓦が近くからよく見えますよ。
お次は3階。
丸岡城に関する豆知識のパネルがいくつか展示してあるので見てみてくださいね。
窓からは丸岡の町が一望できます。1階で見たジオラマと比べて今と昔の違いを楽しんでみてくださいね。
城の外にも展示物が!!
一通り中を見終わったら城の外を散策。
出口のすぐ横には笏谷石製のシャチホコが展示してあります。
これは江戸時代のものではなくて、元々木製だったシャチホコを昭和の時代に石で作り直したもの。
昭和23年の福井大地震で落下してしまったのだとか…
また、天守の周りにはこんな展示物も。
みなさんこれがなんだか分かりますか??
実はこれ、今から1600年ほど前の古墳から出土した石棺なんです。
もちろんこちらも笏谷石。とても昔からこの地域の人々と笏谷石は切り離せない関係だったんですね!!
腹ごしらえは麓の「一筆啓上」茶屋で。
見学が終わったらお城の麓にある一筆啓上茶屋でランチにしましょう。
ちなみに「一筆啓上」とは徳川家康の家臣本多作左衛門重次が陣中から「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥せ」と妻に宛てて送った手紙の中に出てくる文言から取ったもの。「お仙」とは後の丸岡城主本多成重(幼名:仙千代)のことから丸岡城に所縁がある。
こちらのお店のお蕎麦は全て丸岡産のそば粉を使用しているということで、迷わずお蕎麦を注文!
あまりにも寒い日だったので温かいものにしました。
福井のお蕎麦って本当に味が濃厚でそばの旨味を感じられます。
温かいお蕎麦で冷えた身体もぽかぽかになりました♪
お城の周辺にも歴史的遺物
お腹も満たされたので、最後にお城の周辺を散策してみました。
歩き回っていると興味深いものを発見。
こちらは切支丹灯籠(きりしたんとうろう)と呼ばれる石燈籠です。
なにが切支丹かというと…
灯籠の足の部分に彫られているのがキリスト教のマリア様で、形も十字架を象っているということからその名がつきました。
本多家ののちに丸岡藩の藩主になった有馬家が元々キリシタン大名であったことから、その縁でここにあるのではないかということです。
キリスト教が禁止されていた時代にひっそりと信仰していた人々がいたかと想像するとドキドキしますね!
丸岡城探索いかがだったでしょうか?
丸岡城は現存天守ということで再建天守では体験できないことがたくさんあります!
ぜひ訪れてみてくださいね。