福井でしか出会えない絶品「安倍川もち」知る人ぞ知る福井の味!
地元民に愛される福井のソウルフード「安倍川もち」。今回は、福井の中でも老舗の人気店4店舗をご紹介します。素朴ながらも奥深い味わいの「安倍川もち」。ぜひ、食べ比べをしてお好みの味をみつけてください。

桜子
福井でみつけた美味しいもの、きれいなもの、四季の移り変わりの楽しみなどを発信します。
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福井県北独特の愛されおやつ「福井オリジナルあべかわ餅」とは?
あべかわ餅といえば、つきたてのお餅に黒蜜ときなこをたっぷりかけた和菓子。
もっちりとしたお餅と黒蜜、きな粉のハーモニーが絶妙で、素朴ながらも奥深い味わいが楽しめます。お餅、黒蜜、きな粉というシンプルな組み合わせながら、栄養価が高いのも好感度抜群。
福井県では、あべかわ餅のお店が何軒もあり、スーパーでも気軽に買うことができます。
もともとは静岡県発祥で、静岡県の安倍川の上流で砂金が採れたことから、きな粉を砂金に見立てたといわれています。また、徳川家康が命名したという説もあります。
江戸時代には、参勤交代や旅人を通じて福井に伝わったと考えられています。福井では16代の松平藩主が参勤交代の途中で食べ、奥方にも食べさせてあげたいと日記に記しているそうですよ。
福井のあべかわ餅は、白砂糖をかける静岡県のあべかわ餅とは異なり、福井の気候に合わせて夏場でも傷みにくく保存しやすい黒蜜を使用。さらに、竹の皮で包んだ時に黒蜜が流れないよう、きな粉をまぶすスタイルが定着したとされています。
今回は、福井のあべかわ餅の中でも特に人気の4店をご紹介します。
どのお店も午前中には売り切れてしまうほどなので、予約で取り置きしてもらうか、午前中のうちにお店を訪れることをおすすめします。
1.【蝋金餅店】江戸時代から続くあべかわ餅専門店。注文を受けてから目の前で仕上る!!
福井市の旧北陸街道沿いにあり、江戸時代から150年以上変わらぬ製法で「あべかわ餅」のみを専門に作っているお店が「蝋金餅店(ろうきん もちてん)」です。旧北陸街道は宿場町として栄え、春には近くの足羽山のお花見でもにぎわっていました。「蝋金餅店」は、もともと蝋燭屋を営んでいましたが、ご先祖の金さんが旅の途中で「あべかわ餅」に出会ったことをきっかけに、餅作りを始めたそうです。
「蝋金」という名前は、蝋燭屋の金さんが始めたことに由来しており、明治40年の観光案内にもその記録が残されています。まさに、福井の「あべかわ餅」界のレジェンドですね!6代目のご主人のお話によると「福井は北前船の文化により、当時は高価な黒糖が手に入ったようです。福井の冬の風物詩である水ようかんも黒糖で作っています。米どころの福井では、お餅でお祝い事をすることが多く、お祭りごとや仏事など、福井の食文化にお餅が根付いています。夏場の暑気払いとして、また厄除けとして、あべかわ餅は当初食べられていたのではないでしょうか。これからも、福井の味を受け継いでいきたいですね。」と語ってくださいました。
予約も可能ですが、ひとつひとつ注文を受けてから目の前で作ってくださるので、できたてのほやほやが味わえます。目の前で作る様子を見るのも楽しいですよ。毎朝4時頃からつく良質の餅米は、食べやすく美しい三角のひとくちサイズで、赤ちゃんのほっぺのようなやわらかさ。添加物なしのこっくりとした黒蜜となめらかなきな粉だけの超シンプルな味つけながら、時間とともに黒蜜ときな粉がモチモチのお餅に濃厚にからむ味の変化も楽しめます。あまり時間をおくと固くなってしまうので、当日でもなるべく早めに召しあがってくださいね。
お値段も良心的なのもポイント。何枚でもペロッと食べられてしまいますよ。
あべかわ餅 7枚 300円(税込)、12枚 500円(税込)、24枚 1,000円(税込)
住所:〒918-8002 福井市佐内町9-27
営業時間:8:30~17:00(なくなり次第終了)
定休日:木曜日
駐車場:1台(お店にご確認ください)
2.【餅の田中屋】愛されて150年、バラエティに富んだ品ぞろえとモチモチ感で人の心を癒していく
1861年の江戸時代に創業した歴史あるお餅屋さんですが、和風の引き戸をあけるとバラエティに富んだ「餅の田中屋」オリジナルの、さまざまな商品が目に飛び込んできます。
伝統的な白い丸餅はもとより、「最中アイスクリーム」や「アイスキャンデー」、福井の特徴である半円の「トボ餅」や、洋菓子の「お餅のカステラ」、「羽二重バーム」、「あべかわプリン」などなど。まるでお餅のミニテーマパーク、もしくはお餅の駄菓子屋さんみたいで、あれもこれも選びたくなってしまって、すごく楽しい!!
人気は「羽二重バーム」。お餅とくるみが二層に分かれて入っています。ギフトにもおすすめで、お洒落な箱に入れてくださいます。また店内には、一歳の誕生日に子どもの健康や幸せを願って背負わせる一升餅(いっしょうもち)や、娘の嫁ぎ先、親戚やご近所に、親の心を形にして配る節句餅(せっくもち)などの、手書きの温かみのある張り紙や大きな丸いお餅なども飾られ、歳時記やおめでたい幸せな席で、お餅を贈り合った福井の文化を感じ取ることができます。
「餅の田中屋」の「あべかわ餅」は、なめらかな舌触りと瑞々しさ、やわらかくコシがあり、上品な味わいが特徴です。6代目の若社長・田中秀信さんによると、お餅づくりには大変なこだわりを持っていらっしゃって、先代が石臼で餅をひいていた作り方を踏襲し、現在も石臼の構造を用いて、餅米専用の「カグラ米」と「タンチョウ米」を使い、朝づきで餅づくりを行っているそうです。石臼構造でひいてついた「あべかわ餅」のお餅は、少し薄めで繊細で、羽二重みたいななめらかさと柔らかさ。のびやかでとっても美味しい!!お餅だけでも、しあわせ感満載です。そして、たっぷりの沖縄産の魅惑的な黒蜜と香ばしい国産きな粉が別添なので、食べたいタイミングで自分で仕上げることができます。
田中社長は、お餅への愛情もひとしおで、「お餅のやわらかな食感は、人の心をほっと癒せるものだと思います。これからも、やわらかくまるく、人の心を癒せるお餅づくりを目指していきたいと思っています」とお話してくださいました。
お餅はしあわせを分かち合い、シェアしあう食べ物。ぜひ「餅の田中屋」で福井のお餅文化と、お餅のしあわせ感を実感してくださいね。
あべかわ餅 6枚 350円(税込)、12枚 700円(税込)
住所:910-0856 福井市勝見3-17-6
営業時間:9:00~17:30
定休日:水曜日
駐車場:あり
3.【あめこ】江戸時代からの老舗が和モダン調のお店に!高級感のある竹皮に包まれた、あべかわ餅
越前市にある、江戸時代中期の1782年創業、福井の老舗お餅屋さん「あめこ」。もともとは「飴屋」を営まれていたそうです。
アメリカと日本のルーツを持つ13代目のご主人が、2024年2月に店舗をリニューアル。和とモダンを融合した空間デザインを手がけ、明るく洗練された白とピンクが基調の店舗に生まれ変わりました。カウンターの上には、竹皮に包まれたあべかわ餅と、お土産用の紅白パッケージの「あべかわ餅」が、そっと積まれています。
福井県産のもち米を数種類使用し、その日の早朝にお店で杵と臼でつき、丸くころんとした形にまとめています。沖縄産の黒砂糖から作った黒蜜と、福井県産大豆から作ったきな粉を絡めたあべかわ餅は、香ばしく深炒りしたきな粉と、自家製の黒蜜のとろみが絶妙です。お餅はコシと歯ごたえがあり、驚くほどの弾力。舌触りの良い黒蜜ときな粉のコンビネーションが最高で、口の中でふんわりと旨味が広がります。
竹皮の「あべかわ餅」は前日までの予約限定。賞味期限は当日中です。竹皮のふんわりとした上品な香りに包まれた「あべかわ餅」は、特別感があります。お土産用は、黒蜜ときな粉が別添えになっていて、食べるタイミングで黒蜜ときな粉をかけることで、翌日でも作りたてのような味わいを楽しめます。順番としては黒蜜を先にお餅にからめてから、きな粉をまぶすのが良いそうです。
木のショーケースの中には、くるみ大福やいちご大福(季節限定)、抹茶大福など、見た目からして美味しそうな和菓子が可愛らしく並んでいます。現在、東京や京都でも販売を行い、さらなる展開を進めているそうです。
あめこのご主人、原田さんは「シンプルな素材ながら、時間とともに変わる繊細な和菓子なので、むらなく味を維持することに工夫を重ねています。若い方にも和菓子を食べていただけるように、これからも研鑽していきたい」とお話してくださいました。
あべかわ餅 8枚 648円(税込)
住所:〒915-0076 越前市国府1-6-5
営業時間:9:00~16:00
定休日:月曜(祝祭日営業)
駐車場:有り(店舗にご確認ください)
4.【大吉餅】つゆだくの贅沢黒蜜に二度くぐらせる!!黒糖の旨味を存分に味わえる、至福のあべかわ餅
1762年、江戸時代後期に創業の「大吉餅」。当初の屋号は「米屋大吉」という名前だったそうです。9代目の森眞一郎さんご夫妻と、後を継がれた10代目・淳一郎さんご夫妻のチームワークで切り盛りされています。作り立てのお餅類が、ころんと品よく硝子戸の中に納まり、ひとつずつでも売ってくださる温かい対面販売。お話を伺う間も、ひっきりなしにお客さまが来店し、地域で愛され続けてきた老舗の伝統を感じます。
「大吉餅」の「あべかわ餅」は、注文を受けてから店頭で黒蜜やきな粉をくぐらせ、目の前で仕上げるタイプと、黒蜜ときな粉のパックが別に添えられているタイプの2種類が選べます。また、予約での販売も可能です。シンプルな素材と製法ながら深みや余韻があり、甘すぎない上品なお味で、何枚でもいただきたくなります。沖縄の多良間島産の高級黒糖を使った、こっくりとした黒蜜は、隠し味に塩も入り、「大吉餅」秘伝の味という趣。コクのある黒蜜とマッチするように、国産きな粉はあっさりめの風味だそうです。そして、さらなる美味しさの秘密は、仕上げにもう一度、上からきな粉と黒蜜をかけるという「大吉餅」独特の「二度漬け」です。
県産の「カグラ米」と「タンチョウ米」という餅米を、早朝から臼と杵方式でついて作る「あべかわ餅」の三角のお餅も、きめ細やかな舌触りと、コシのある弾力が絶妙です。「その日の湿度や気温によって、もち米の水の含み具合も変わりますから、お水加減の調整にこだわっています。福井はお餅が好きな方が多いので、地元の皆さまにも召し上がっていただきたいですし、県外の方にも、福井県ならではの味として、あべかわ餅をぜひおすすめしたいですね」と淳一郎さん。
老舗の伝統の味を守りながらも、若い感性とお餅への愛情で未来へ進化を続ける「大吉餅」の「あべかわ餅」。県外の方もぜひ召し上がってみてください!
あべかわ餅 10枚 520円(税込)、15枚 780円(税込)、20枚 1040円(税込)、25枚 1300円(税込)
住所:〒910-0003 福井市松本2-2-2
営業時間:7時半~18時半(日曜日は17時半)
定休日:木曜日、第3水曜日(定休日が祝日の場合は営業)
駐車場:あり