「シックス スリー エステート ワイナリー」ワインを通じて越前市の風土や食文化を発信
福井県で二つ目のワイナリーとして、2023年1月7日に北陸新幹線の「越前たけふ」駅近くにオープンした「シックス スリー エステート ワイナリー」。2024年秋のレストランのオープンを前に、ふく旅ライターがどこよりも早くご紹介します!
桜子
福井でみつけた美味しいもの、きれいなもの、四季の移り変わりの楽しみなどを発信します。
好きなこと/温泉めぐり、花、和楽器の演奏/
1.2024年秋オープン!シックス スリー エステート ワイナリーのレストラン「TSUKIHI」
2023年1月7日開業、北陸自動車道武生ICから車で4分、北陸新幹線「越前たけふ」駅から歩いて15分ほどの良好なアクセスの地にある「シックス スリー エステート ワイナリー」に、2024年秋いよいよ待望の「レストランTSUKIHI」がオープンを迎えます。
ふく旅ライターがオープン前にさきがけて「ヴィンヤード」(自社農場)と「ワイナリー」に潜入!!代表取締役であり、栽培・醸造責任者の西野恒樹氏と、着工中のレストラン「レストランTSUKIHI」の開発マネージャーの劔持和代さんに、オープンに先駆けてお話をたっぷりと伺ってきました!!
自社農場のある「しらやま地区」で巣立つ、国の天然記念物「コウノトリ」をモデルに、コウノトリがブドウをくわえて飛んでいるお洒落なロゴマーク。
- ふく旅ライター
- 本日はよろしくお願いします。早速ですが、シックス スリー エステート ワイナリーのお名前の由来をお伺いしてもよろしいでしょうか?
- 西野代表取締役社長
- よろしくお願いします。赤ワイン6種と白ワインの3種の品種を基軸としたワイナリーという概念で名付けました。
- ふく旅ライター
- シンボルマークの「ブドウをくわえたコウノトリ」のデザインもお洒落で目を惹きますね。
- 西野代表取締役社長
- ありがとうございます。弊社の農場は、こちらのワイナリーから車で20~30分くらい、特別天然記念物のコウノトリが住む自然豊かな「越前しらやま地区」にあるので、コウノトリにあやかったシンボルマークにしました。赤・白・ロゼ・オレンジのワインのボトルラベルにも、それぞれの色のブドウをくわえたコウノトリがデザインされているんですよ。
2.【自社農園】コウノトリが舞う自社農園で、豊かな越前の土と風に育てられた自然派ワイン
- 「しらやま地区」で自社農園をはじめられた理由はどのようなことからでしょうか。
- ブランドの「しらやま西瓜」で有名な「しらやま地区」は、標高が約200mあるので風通しがすごく良く、病気のリスクも低く虫もつかないなど、自然的にとても好条件だったんです。農園のあるところはもともと耕作放棄地だったので、開墾するところから始めました。
- 開墾されて、どのような品種のブドウを育てられたのですか?
- 98%がフランス原産です。赤品種は、ピノノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー・メルロー、ガメイ、プティヴェルド、白品種はシャルドネ、リースリング、セミヨン、ゲヴェルツトラミネール・ソービニヨンブランなど、合計12種6000本を栽培しています。
- こんなにたくさんの欧州の品種のブドウを、気候の違う日本で育てるのは大変そうですね。
- 近くに自社の試験農場があって、最初はそこでちゃんとブドウが実るか確認してから、本格的にしらやま農場で有機栽培で育てています。樹はその土地に順応するんですよ。不思議なもので、同じ品種でも越前の風土で育ったブドウは、ワインもまた越前の味わいになるんです。のちほど、ティステイングルームで、ぜひご賞味ください。
- ありがとうございます。まさに越前の風土を活かしたワイン作りなのですね。ティスティング楽しみです!
3.【ワイナリー】自然発酵・無添加・無濾過の丹精込めた手仕事で越前を感じるワインを。
ワイナリーの中に案内していただくと、近代的なステンレスタンク、オーク樽、そして近年、注目されている、土器でしっくりとピュアに熟成させるアンフォラワイン用の室町時代に作られた越前焼の壺がありました。土器は息をしていて酸素を通すので、アンフォラワインは、熟成がとてもまろやかになるのだそうです。
「弊社では、ワインに酸化防止剤である亜流酸塩を入れません。すべて有機栽培で無添加、無濾過、自然発酵で作られた自然派ワインなのです。この作り方は、全国で500くらいあるワイナリーのなかでも、10か所くらいですね。毎年ワインの味に、そのときの風土が反映されるのも、手作業ならではの醍醐味です。」と、代表の西野さん。
肥料は有機、消毒は有機JASに準じて年に数回程度と、とことんこだわったワイン。「越前漆器」や「越前箪笥」など、古くから上質な伝統工芸が育まれてきた越前の風土のスピリットを受け継ぐワイナリーなのです。
元・耕作放棄地の自社農園の開墾から出た木を伐採後に薪としてレストランの熱源に使うサステイナブルな一面もあるのです。
- 電子部品と金属加工会社の役員もされている西野さんですが、どのようなきっかけで、ワイナリーを始められたのでしょうか?
- ひとことでいえば、ブドウをつくってみたかったんです。最初、神戸のとある場所で出会った、知る人ぞ知る1本のワインがきっかけでした。そこから国内外のワイナリーをめぐり6年前の2018年に、とうとう我慢できなくなり、ブドウの木を植えてみました(笑)
- 2年目の2020年、ブドウが実り、自信がついて、その年から福井県のワインカレッジを受講して今に至ります。
4.【レストラン「TSUKIHI」】越前富士と炭と薪のお料理とワインペアリング
レストラン「TSUKIHI」では、秋のオープンに向けて急ピッチで準備がすすめられています。どんなレストランができるのか、皆さんもめちゃ気になりますよね・・・!ということで、完成予想図を特別に見せていただきました。
まず、ワイナリーに到着して越前箪笥の技巧があしらわれたエントランスの扉をオープン。天井の高い雰囲気のあるアプローチを抜け、奥にあるレストランへ。ろうそくの炎のゆらぎで出迎えられ、かなりお洒落な雰囲気になるそうです。
金沢のホテル香林居(こうりんきょ)を改装した建築家が全体をプロデュースしたというレストラン「TSUKIHI」(写真①)
大きな窓からは越前富士といわれる、なだらかで美しい日野山のパノラマビューが楽しめます。田植えの時期には月明かりに照らされる水田のあかりも映り込み、越前の自然と融合した美しい風景が広がります。新幹線の流れる光や、刻々と表情を変える外界を眺めながら、ワインとお食事を堪能できる心穏やかなとっておきの時間は、忘れられないひとときになりそうですね。週末にはランチもあり、夜と同じコースを提供予定だそうですよ。個室の壁はドーム状で、越前レンガを使用した素材が使われるそうです。(写真➁)とても心落ち着く空間になりそうですね。
- マネージャー劔持さん
- レストランだけではなく、越前産のブドウの酵母で発酵させたパンが買えるパン工房も構想中です。
- ふく旅ライター
- 楽しみです。美味しい食材が豊富な福井なので、シェフの方も腕のふるいがいがありますね。
- マネージャー劔持さん
- 福井県産の蕎麦粉や小麦粉で構想中です。パスタをはじめ、越前や若狭の地場産食材を使ったお料理に、越前産のワイン。食器やカトラリーも、越前焼や越前打刃物など、伝統工芸のまち越前で生まれた工芸品も取り入れ、越前を五感で感じていただけることを目指しています。
5.【SIX THREE ESTATE ECHIZEN】越前焼のボトルに入ったワインは越前の粋の結晶
ティステイングルームにて、ワインの試飲もさせていただきました。製造されているさまざまな銘柄のワインの試飲が楽しめます。
ワイン好きには必訪のスポットですよ!
今回は、オーク樽で熟成の白ワインをティスティングさせていただきました。とろみのある蜂蜜のような色、清らかな花のような芳しい香りと、きりっと後味がドライの忘れられない味。抜栓して1週間たっても、風味はフレッシュなままというのも、本当に驚きでした。
マネージャーの劔持さんによると、空気に触れることによって味わいが豊かになるので、抜詮してからも日を追うことで変化する味や香りを楽しめるそうです。赤も飲んでみたくて、お土産に購入しました!
隣接ルームには、フレンチオーク樽やアカシアの樽、江戸時代の越前焼の壺に入ったワインも貯蔵されています。
越前焼のボトルに入った【SIX THREE ESTATE ECHIZEN】は限定50本。買われた方は、毎年、新酒の時期に今年の新酒をこのボトルに詰めていただくこともできるそうです。グッドデザインのボトルはそのままインテリアとしても飾れる美術品だと思いました。
6.【ワイナリー見学+ティスティング体験】のお知らせ
いかがでしたか?福井県の新しい観光スポットとしても注目のワイナリー。3月16日から一般の方にも、ワイナリー見学と店販売、ワンコインでのティスティングを開始しています。ご予約は公式LINE、インスタグラムのDMにてご希望の日時を。ご予約がなくても、当日ワイナリーで受付できるそうです。
営業日:平日9時から17時(見学最終受付16時)
定休日:土日祝・年末年始(事前予約にて土日は対応可能)
料金:見学無料・ティスティング500円~
※20歳未満の方への販売・試飲・お車を運転される方のティステイングはできません
美味しい越前産のワインを生み出す越前のエッセンスを五感で余すことなく味わえるシックス スリー エステート ワイナリー。とっておきの記念日に越前でしか味わえない食とワインで特別な時間を過ごせるレストラン「TSUKIHI」のオープンが待ち遠しいですね。これからも目が離せないワイナリーです。