新蕎麦の季節!!福井をまるごと味わえる「蕎麦」のおすすめ店5選
12月から1月にかけては、新蕎麦の美味しい季節。20種類以上の在来種があり、「おろしそば」の発祥の地でもある福井県には名店が数多くあります。今回は十割蕎麦で石臼での自家製粉を楽しめる本格派や、福井県の郷土食である「油揚げ」と「おそば」が楽しめる店を中心に、ご紹介したいと思います。
桜子
福井でみつけた美味しいもの、きれいなもの、四季の移り変わりの楽しみなどを発信します。
好きなこと/温泉めぐり、花、和楽器の演奏/
1.「そば蔵 谷川」毎日、手臼で挽く粗挽きの香りと味を噛みしめる
越前市の住宅街で、30年ほど前から石臼でひいた粗挽きのそば粉を使った十割そばを始めた「そば蔵 谷川(そばくら たにかわ)」。十割そばのお店の元祖ともいうべきお店です。
11時30分の開店前から、日本庭園の美しい敷地内に順番待ちの多くの人が、用意された椅子に並んで座り、開店を心待ちにしています。
落ち着けるしっとりとした日本家屋と日本庭園は現在76歳の谷川さんのご生家。雪つりの松も美しく、待ち時間の間も目を楽しませてくれます。奥様がお庭のお花で活けていらっしゃる美しい生け花にも心が和みます。
今をさかのぼる会社員時代、県外で出会った自家製粉の十割そばの粗挽きに感動、そばの透き通った美しさに魅せられて家にあった石臼を取り出して始めたそば作り。そしてついに開業に至ったという、おそばへのこだわりと愛情と探求心も筋金入りです。
「そばに大切なのは何よりもそば粉の鮮度。自分で納得のいくものをそば粉から作りたいので自家製粉にこだわっています。」と谷川さん。
丸岡産在来種のそばの実を毎日、翌日に使うぶんだけ電動石臼(中粗挽き)と手臼挽き(粗挽き)で、二種類の粉を自家製粉されています。
手臼挽きでは石臼に実を入れ一時間かけてじっくり挽きます。途中「ふるい」にかけますが、粗挽きの香りや透明感にこだわるため、目の粗いふるいを使っているそうです。挽いたそば粉を見せていただきましたが、黒い粒に緑色や白い色が混じって、まるで美しい小宇宙のよう。
翌日は1日に3回、そば粉と水だけでつなぎを使わずにそば粉の粘りだけでそばを打ちます。「寒い時は手際よく打たないと固くなる。そばの食感も打った後も一時間ごとに違ってくるんです。十割粗挽きは、打ち立てよりも数時間後が美味しいですね。」と、谷川さん。おろしそばの大根も、出す直前におろしていらっしゃいます。
メニューには、粗挽き、中挽き、二種類の粉で打ったおそばがあり、好きなほうを選べるので、食べ比べしてみるのもいいですね。わたしは手臼挽き粗麺のおろしそば(1050円税込)をいただきました。瑞々しくて、今までに食べたことのない食感でしす。清らかな澄き通った少し平たいおそばの中には粗挽きのため、そばの粒も見えます。しっかりとした風味や甘みが香りたち、そばの力強さ、かみごたえ、そして繊細さ。ふーっと、しあわせに満たされる美味しいおそばです。越前焼の器に良く合います。
手臼挽粗粉のそばがき(900円税込)やそば湯も別格です。そば湯はそば粉を打った切れ端を、もみほぐして溶かしてわかしていますので純度と濃度が高く、そば湯単体で一品作ってもいいくらい。ルチンたっぷり、体にもすごく良さそうなとろとろのそば湯でした。粉を挽き、打ち、出汁を作る、ゆでてそば湯を作る。一連の工程をすべて谷川さんおひとりで行っていらっしゃいます。
「自然体でやっています。これからも、元気なうちは続けていきたいですね。」と谷川さん。全国からたくさんの人が、何年も変わらずに師走のおそばの発送を楽しみにしてくれているのも嬉しいという言葉に、作り手の誇りと確固たる意志を感じました。
【そば蔵 谷川】
越前市深草2丁目9-28
0778-23-5001
営業時間:11時30分~14時
定休日:月曜・火曜・第1.3.5日曜日
駐車場:あり
2.「そば処 福そば」大野在来種のそば粉にこだわる
創業63年、大野の地元からも親しまれ11時の開店前から多くの方が並ぶ「福そば」本店。名水百選にも選ばれている大野の御清水(おしょうず)の名水を、おそばの出汁や打つ時のお水などに使用しており、地元の大野在来種の玄そばを使用した自家製粉のそばを食べることができます。2代目店主の加藤さんによると、大野在来種は、何百年も品種改良を行っていないので野性味があり、香りが良い自然に近い風味だそうです。
本日は、大野在来種の新そばの早刈りの玄そばで打ったおろしそば(700円税込)をいただきます。大野在来種の早刈りの玄そばは青みがあり黒くなる前に刈り取るので、栄養価も香りも高いのが特徴だそうです。福そばさんのおそばは、細挽き細打ち。刈り取ったあとの玄そばの粉を温度管理や湿度に気を配り、発酵に気をつけて丁寧に管理されています。フレッシュで美味しく、素材の持ち味が生きています。
おろしそばは、かつお節がたっぷりとのって、大野産の醤油を使っての出汁とそばがよくからみ、みずみずしい美味しさ。他にもおすすめなのが、全国的な人気を誇るブランドの大野産の上庄の里芋を使った煮物です。上庄の里芋は少し歯ごたえがあり、つやつやと大野産の醤油の照りが美味しく、おろしそばとよく合いますよ。地元の名産である九頭竜産のマイタケを使った天ぷらも人気ですよ。
【そば処 福そば】
大野市元町11-4
0779-66-2930
営業時間:11時~14時
定休日:毎週水曜・不定休
駐車場:あり
3.「蕎麦 やすたけ」おそばはもとより和食のメニューも繊細で絶品!
開店前から多くの方が詰めかける福井市文京の「蕎麦 やすたけ」。50年も前から営業している老舗のお店ですが、20年前に2代目の店主に代替わりしてからは、日々おいしいそばのために試行錯誤を重ね、機械打ちを手打ちに、そば粉を自家製粉に変えられて5年前にお店も改装されたそうです。福井県産在来種そば粉にこだわり、毎日、お店で石臼でそばの実を挽き、水とそば粉だけでそばを打っていらっしゃいます。
冷たいおそばは「太打ち十割」もしくは「細打ち十割」が選べます。おろしそば(825円税込)をいただきました。石臼でひいて打ったおそばのなめらかな美しさや弾力、つるっとしたのどごしの良さや香り高い奥行きを堪能できました。
「うまいおそばは美味しい和食への入り口」と、おそば以外にも福井の素材を活かした和食メニューも充実。おそばに合うもの、お料理に合うものをセレクトしたワインや地酒などの酒類のメニューも豊富です。特に天ぷらは格別で、さくさく、からっと揚げたての繊細な技を感じさせてくれます。御膳もの(2420~2750円税込)や、名物かつ丼(1100円税込)など、手をかけて作られている本格的なおいしさを、お値段もはらず堪能できるのも魅力のひとつ。福井の食の豊かさを味わえる酒肴や一品料理も豊富です。福井県産福地鶏のだし巻き(1100円税込)をオーダーしましたが、ふわふわした弾力と甘み、ボリュームも、ぜひ味わってみてください。
どのメニューも五感が満足できる彩りや盛り付けに工夫がなされ、日々、より良い美味しさを追求されているお店の姿勢が伝わってきます。大切な方へのおもてなしや会食にもぴったりのお店です。そば湯のとろみ、こちらもぜひ、味わってください。
【蕎麦 やすたけ】
福井市文京7丁目9-35
0776-26-7281
営業時間:11時~15時30分(LO15時)
17時~21時30分(LO21時)
定休日:火曜日夜の部・水曜日
駐車場:あり
4.「大久保茶屋」あったかいおろしそばに、肉厚の油揚げが、ほっとする
これからは、あったかいおそばも恋しくなりますね。福井県の郷土食である「油揚げ」と「おそば」が両方楽しめる贅沢なおそばをご紹介します。
福井市足羽山の「大久保茶屋」。福井市民の憩いの山である足羽山を車で登っていくと、NHK塔前に広場の前にお店があり、お店の前に何台か停めれる駐車場のスペースもあります。天候の良い日は外でのお茶や食事も楽しめる古民家風のお店で、窓からは福井市内の風景が見渡せてロケーションも最高です。お花見の時期には、ほんわか柔らかな「とうふの木の芽田楽」(640円税込)や、甘辛いお味噌でいただく「こんにゃくおでん」(440円税込)でも、おなじみです。
今回は日本一消費量の多い、福井のずっしりとぶ厚い「油揚げ」とおそばが一緒に楽しめる「厚揚げそば」(770円税込)をご紹介します。外はカリカリ、食べるとほろっと口の中でほどける厚揚げは、くずれにくく、しっかりと大豆のコクがある「おたとうふ」のお豆腐を使用して、注文が入ってから、中まで温まるように、じっくりと丁寧にお店で揚げていらっしゃいます。福井県産厚揚げの底力と大久保茶屋さんの美味しさへのこだわりを感じました。自然でやさしい味わいの出汁も、北海道産の利尻昆布にかつお節など5種類のブレンドで仕上げてこだわっています。福井県産の中太麺のそば粉とよくあいますよ!福井の郷土食をぜひ感じてください。
【大久保茶屋】
福井市小山谷町34-9足羽山公園NHK塔前広場内
0776-36-0306
営業時間:10時-17時半(冬は天候により変動あり)
17時半以降は要予約(夜間歓迎)
お花見の時期は10時から22時
定休日:無休(元日休み)
駐車場:あり
5.「二男坊」サクサク油揚げ×おろしそばのコンビが絶妙!
福井の在来種のそばが食べられる「香福の極み越前そば認証店」にも登録されている「二男坊」。越前町産の福井県産そば粉を使ったおそばに、パリパリと焦げ目のついた油揚げが、どーんとのっている「あげおろしそば」(1080円税込)は、のど越しが良い細めのおそばと、辛味おろしベースの出汁です。焦げ目のついた福井県産の油揚げのコンビネーションが楽しめます。油揚げの熱いうちはつけ麺のようにして、冷めたところで、ぶっかけにしていただくのが店主おすすめの食べ方のスタイル。味変して食べられるのも、楽しいですね。
【二男坊】
福井県鯖江市吉江町512
0778-51-4015
営業時間:平日 11時~15時(おそばが売り切れ次第終了)
土・日・祝 11時~19時(おそばが売り切れ次第終了)
定休日:火曜
駐車場: 9台